日本の大学/研究所は、「研究バブル」全盛期にあり!!

みなさん、こんにちは。

今回はちょっと違った話題を紹介しておこう。日本の今の科学界の雰囲気を知ってもらうことがその目的である。要するに、日本の科学界は「科学研究バブル全盛期である」ということである。

JALの破綻、トヨタの失速、ウィルコムの破綻に象徴されるように、今や日本社会は貧乏のどん底へ突き落とされつつある。しかし、これとは逆に1995年以来、莫大な借金の下に、日本の科学界は、まるで1980年代の不動産バブルに湧いた日本社会のように非常にリッチで勢いがある、破格の「研究バブル時代」にあるのである。

かつて昔の私のブログにも書いたが、1995年に誕生した「科学技術基本法」成立のおかげで、日本の科学界には毎年約5兆円、5年で25兆円ほどが費やされて来たのである。一般に、芸能界(=広告世界)の経済規模が、年7兆円というから、年5兆円がどれほどのものか分かるだろう。もちろん、これは、いわゆる「土建業界」の「公共事業」の裏返しとして、ダムや道路などの地方公共事業に費やされたお金がほぼそっくりそのまま日本の科学技術世界に転用されたものである。

今回は、実にうまく一般人にも分かるように、この趨勢を彷彿させてくれるものを2つほど紹介しておこう。まず1つ目は、NHKの「若きプリンス、生命の謎に挑む」、もう一つは、東大に新しくできた「IMPU」という研究所である。

まず、一昨日NHKの「プロフェッショナル」で上田泰巳博士が取り上げられた。
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(私が知る限り、科学者に「プリンス」という称号がついたのは初めてだろう。日本の科学界もついにここまで来たか、という観あり。つまり、王子と乞食のように、プリンスがいるなら乞食もいるということだ。)

27歳チームリーダーになったという、「日本科学界のプリンス」という。この若く優秀な生物学者の研究には確かに目を見張るものがある。私自身、今現在は同じような問題を研究して来ているから実に良く分かる。しかし、それは、周りのスタッフ、施設、金などあらゆる面で優遇されているからできることである。それを今回の番組は非常にうまく描いていたと思う。

しかしながら、NHKでは全く無視されていたために、ぜひ注意して欲しいことは、この研究者は理化学研究所に所属しているということである。この理化学研究所の年間予算はすでに1000億円を超えるところまで来ている。これは以下のものである。

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認可予算及び定員の推 移
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(見事な指数関数的増大(バブル)である。いつバブル崩壊するのだろうか?)

さて、もう1つの東大の「数物連携宇宙機構(IMPU)
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とは何か? と言えば、これは素粒子物理学と数学、数理物理学に特化した研究を行う、まれに見る研究所である。
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私自身、理論物理学者であるから、こういう研究所は20年以上前からあればいいと思ったものである。しかしながら、今は時期が悪い。もはや日本にそんな金銭的余裕はないからである。

この研究所の最近の活動は、実に分かりやすく、その素粒子部門の長である、大栗博士のブログで紹介されているから見て欲しい。
物性と素粒子の対話、1日目
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まあ、これらはほんの2つの例に過ぎないが、結局「研究バブル」というものも、その一番の本質は「箱もの行政」でしかないということだ。研究分野ごとにでっかいビルを立て、そこに研究施設や人員を配備し、高額の予算を消費するための部門組織を作る。ただそれだけのことに過ぎないということである。

1970年代から1980年代までは、日本の一般社会の中で、ビルを立て、道路を作り、空港を作り、橋を作り、住宅街や公団住宅を作る、というような建物行政をしてきたのだが、この15年間は今度は、大学/研究所というかなり限られた局所的空間内で、ビルを建て、道路を作り、研究所を作り、装置を入れ、研究者食堂や住宅を作る、ということを行って来たということなのである。

田中角栄の「日本列島改造論」時代は、それが日本全土で起こったから、日本自体が元気になったわけだが、この10数年は同じ金額が今度は大学や国立の研究所という非常に狭い範囲内だけで起こったものだから、一般人にはまったく経済的波及効果がない。むしろ、まったく日本に税金など支払っていない海外の研究者や研究所が、研究協力や連携という形で、日本の税金のおこぼれを頂戴しようと群がってぶら下がって来ているというのが、今の日本の研究世界の姿なのである。

研究における国際貢献というのは、日本国の税金の交通整理ではあるはずがなかろう。しかし、最近では、マネーフローという形でどんどん海外にも流れてしまっているのである。もしこの金のごく一部でも、もっと別の分野や日本国内に存在する、新規事業や新規研究にまわればどれほどの真の国際貢献ができるかと考えれば、今の状況が日本の科学技術にとって良かろうはずがない。

いずれにせよ、今は理論物理学者といえども、かつて歴史上ないほどのリッチな生活を送っているのである。もっとも、そこは格差社会、上田博士や大栗博士のようにテニュアのある正職員はリッチな生活ができるが、非正規社員よろしく非正規雇用のポスドクや研究スタッフなどは、使い捨てである。それは、一般社会と同様に厳しい社会なのである。

この辺りのことは、NHKは意識的に無視したようだ。茂木健一郎も無視していたがネ。

まあ、これが私が以下のものを書いた理由である。
民主党の「必殺仕置き人」、科学予算に切り込む!どんどん切り刻め!
日本の科学技術にも「政権交代」が必要!
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  by Kikidoblog | 2010-02-18 18:40 | 真の歴史

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