セシウム137とストロンチウム90:核図表の読み方とは?

みなさん、こんにちは。

いやはや、放射性物質の除去は難しい。なにぶん、我々物理学者、特に、私のような理論物理学者など人生において滅多にお目にかかるというような代物ではないからである。せいぜい実験核物理学者や原子炉開発者などしか、お目にかかることなどないだろう。ましてや放射線を放出する放射性物質なのだから、おめにかかりたくはない代物なのであるから、なおさらである。普通のこういう危険物を取り扱うにはそれなりの免許がいるはずである。

さて、そんなふうなことだから、セシウム137とかストロンチウム90などと言っても、日常生活ではたぶん永久にお目にかかるはずのない物質であった。つい最近までは。ところが、福島原子炉崩壊以来、今では、この危険物質が毎日、時々刻々と放出され、実に身近なものになってしまったのである。こういう場合は、まずはその物質とはどんなものか知る必要があるだろう。

まずは、セシウム137について。以下のものを見つけた。
セシウム

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この図のセシウム137からバリウム137への崩壊過程は、
核図表
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で言えば、「魔法数(マジックナンバー)」82の縦列にあるセシウム137の黄色の場所からその一つ左斜め上のバリウム137の黒い四角のマス目に移ることに対応している。つまり、「セリウム137の原子核が、β線(電子線)を出して、中性子が陽子へ核変化すると、バリウム137になる」ということである。

逆に、もしβ線(電子線)を浴びせて、セシウム137の陽子が中性子へ1つ核変化すると、キセノン137になるということである。セシウム137のすぐ隣の上下には、陽子の数が1つだけ異なる別の安定物質があり、その左斜め上にはバリウム137という別の安定物質があるということである。この図はそういうことを示している。

どうやら、Paul E. Brown博士の10MeVの電子線照射で放射性廃棄物の放射能を除去するというのは、後者のやり方であるということになる。

しかしながら、これを生物や食べ物の場合に行うと、生物や食べ物の中に含まれている無数の原子の原子核を核変化させかねないということである。あるいは、DNAやRNAの変異を行いかねないということである。だから、生物や食べ物の場合に、直接に放射線照射で放射能を除去するという方法は無謀であり、適切ではないということになるだろう。何か別の方法を探索しなくてはならない。ということになる。

さて、同様に、今度はストロンチウム90の場合はどうか? 以下のものがある。
7.ストロンチウム-90(90Sr)

セシウムとストロンチウム
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ストロンチウムは、
(周期律表)
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の38番目の原子である。つまり、陽子の総数が38個。放射性元素表の横軸が中性子総数だから、横軸の52番目の縦列をのぼり、Sr(ストロンチウム)の38番目と交差する、黄色いマス目のところが、ストロンチウム90の場所である。その1つ左斜め上の黄色のマス目が、イットリウム90(Y90)の場所である。そのもう1つ左斜め上の黒いマス目が、ジルコニウム90(Zr90)の場所である。このプロセスで、イットリウム90に自然に核変換するのに、30年近くかかるというのである。

いずれにせよ、この図表の縦に動くためには、β線(電子線)を放出すれば左斜め上に動き、β線(電子線)を吸収すれば1つ右斜め下に動くということである。一方、横方向への動きは、中性子の数の変化に対応しているから、中性子線を放出すれば、左へ1つ動き、吸収すれば、右へ1つ動くということである。また、ガンマ線やエックス線は、電荷を伴わないから、放射性のバリウム137(Ba137m)から同じバリウム137(Ba137)に変化するということである。したがって、実際には、この図に垂直な方向に、〜〜mというものがあるということになる。

こういった基本知識から、何かがつかめたらすばらしいということですナ。今の所、良いアイデアは浮かばない。
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  by Kikidoblog | 2011-03-25 12:15 | 放射能防御除去

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