「ヒッグス粒子」:素粒子論世界では「あらねばならぬ粒子」なのサ!

みなさん、こんにちは。

昨日は理論物理など全く理解できないはずのマスゴミ各社が、まるで一流の理論物理学者になったかのような気分になって、得意げに「ヒッグス粒子発見」などというニュース、要するに「イルミナティー・ニュース」のことだが、を流したのを目撃したはずである。今朝の各社朝刊も同じ記事が出ていただろう。

私も30年ほど前からユタ大物理学部時代までは、まさにそういう分野を勉強し、論文を書くことを目指していたものである。なぜなら、私のそもそもの物理学の出発点は、いわゆる「固体の場の量子理論」というものだったからである。

これは、素粒子物理学(いまでは原爆や原子炉を生み出した悪魔の科学の代名詞となっているが)で朝永振一郎、

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シュウィンガー、

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ファインマン、

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ダイソンら

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が発展させた「場の量子論」というものを物質科学へ応用したものが、「固体の場の量子理論」というものであり、「多体問題」というものをいかに理論的にさばくかのひな形の一つとなったものである。また、この分野こそ、俗にいうところの「還元論」(マクロのものはミクロレベルの個々の集まりの総和として理解可能)という哲学に基づくものである。

アインシュタイン博士

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は、4つの力の統合を目指し、1つのシナリオを描いた。電磁力と重力は同じものの別々の現れである。つまり、太古においては重力と電磁力は同じものであった。それが現在では何がしかの理由で別々のもののように見えるようになったのだと考えたのである。そうすることで、電磁力と重力は統合できると予想したのである。要するに「力の進化論」である。それを提唱したというわけである。アインシュタイン博士もダーウィンの進化論の全盛期にその影響から逃れることはできなかったのである。しかし、これは果たせぬ夢となった。

そこで、アインシュタイン時代にはまだ全く無名の若い理論物理学者たちが、ちょっと考え方を変えた。いきなり重力と電磁力が統合できないのならば、電磁力と一番近いものは何か? そいつは弱い相互作用だ。だったら、弱い相互作用と電磁力が統合できるはずだ。そういうふうに考えたのである。

一気に世界中で(といっても、素粒子物理の世界でという狭い世界の意味だが、彼らは自分たちがだけが世界を知っていると心底思っているから、狭い世界と考えてはいないはずであるが)、だれがそれを最初にやるかという競争になったわけである。ユダヤ人は競争が大好きである。ついに、ワインバーグ

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サラム(パキスタン人)

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がそれを行った。

この時期に、実験物理学の方ではさまざまな新発見、新粒子の発見があり、原子核の中の構成粒子のクォークやさまざまな粒子が見つかり、クォーク理論を拡張していく必要性が生まれたというわけである。

この実験物理学の流れは、「力の進化論」の流れとうまくかみ合い、弱い相互作用と電磁力がワインバーグ–サラム理論で統合できたのであれば、今度はそれに強い力(核力)を統合すれば良いということになり、新たなる挑戦が生まれたのである。

そして、それを完成したのが、つい最近ノーベル賞をもらった、日本の小林、益川

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の「小林ー益川理論」というものであった。これが今現在まで「標準理論」と呼ばれているものである。

ところで、こうやって1つ1つの力を統合して行くうちに、素粒子物理学者は、それは宇宙を過去に遡ることになるということに気づいた。人間が人間の進化を考えるとすると、猿と人間の共通の先祖を探すことは、地球の動物の歴史を遡ることにあたる。これと同じようなことが物理の世界で始まったのである。「粒子の先祖を探すこと=よりミクロの粒子探し」という図式ができたのである。言い換えれば、「よりミクロの粒子を探すこと=宇宙の昔を見ること」であるという、一種の錯覚を得たということである。

そして、ついには、「標準理論+重力」が完成すれば、「アインシュタインの夢」が完成するということになったというわけである。そこで、素粒子物理学者は調子に乗って「万物の理論」と命名したというわけである。ここでいわゆる「超ヒモ理論」なるものが生まれたのである。

しかしながら、この超ミクロのヒモを見ることはもはや地球規模の実験ではできない。したがって、ここから先は、どんな理論が誕生したにせよ、実験的に見ることができないという矛盾めいた状況が生まれたのである。地球を爆発させたとしてもそんなエネルギー領域は達成できない。

そこで、最後のエネルギー領域と考えられたのが、ワインバーグ–サラム理論で登場し、その拡張が標準理論となっている、「ヒッグス粒子」というものを実験で検証できなければ、そこから先の理論的拡張を行ったとしても無意味であるということから、「何が何でもヒッグス粒子の発見をしなければならない」という状況が生まれたのである。この粒子がなければ、そこから先のすべては水の泡、単なる空想や妄想に過ぎなくなるのである。だから、「ヒッグス粒子」は至上命題だったというわけである。

私の記憶では、私がユタにいた頃、いまから25年前には「ヒッグス粒子探し」は始まっていた。しかし、アメリカのリニアーコライダーやら当時のCERNの装置ではそのエネルギーに達せず、だれも見つけることができずにいたのである。

そんなわけで、最終的にその要請に答えたのが、再びCERNだったが、CERNはそこの理論物理学者や数学者がインターネットを発明したことでその名を高めたが、本来の本業ではあまり芳しくなかった。この25年の間にすでに何兆円もの予算を食いつぶしたのである。
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科学者たちの「神」の意味

こういう経済学的意味でも、「ヒッグス粒子」は、「あらねばならない粒子」なのである。「金食い粒子」なのである。

このニュースを見る場合、この視点が重要である。素粒子物理学者たちにとっては、自分たちの職場の終焉か存続かの瀬戸際の粒子が、ヒッグス粒子なのである。もっともマスゴミは何も知らないし、何も考えないから、こういう話はどこにもない。

さて、このヒッグス粒子、実は当初から「ヒッグス

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がだれかのアイデアを盗んだ」といういわく付きのものであった。というのも、実はこのアイデアは物性物理学から生まれたのである。これを最初に言ったのが、真性天才の南部陽一郎博士

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とヨナ–ラシニオ博士

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であった。

南部博士とヨナ–ラシニオ博士は、物性物理学の超伝導現象のようなことが、太古の宇宙では起こるとすれば、超伝導のようにして、素粒子(これは、物性物理学では「素励起」にあたる)は質量(超伝導ではエネルギーギャップにあたる)を持つことが可能ではないか、と考えたのである。つまり、物質の質量とは、超伝導ギャップエネルギーのようなものだろうと考えたのである。では、超伝導の時に現われる「クーパー・ペア(クーパー対)」に対応するものは何か? これが、いまでいう、「ヒッグス粒子」なのである。

このアイデアは、それより少し前のリー–ヤン

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(ちなみに、私はこのチェン・ニン・ヤン博士の孫弟子にあたる。このヤン博士の一番弟子が、ビル・サザーランド博士

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であり、私の恩師である。)

の「対称性の破れ」と超伝導エネルギーギャップの概念を結びつけたものであった。

一方、P. W. アンダーソン博士

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は、電磁場と電子の相互作用を考えた。光やX線(つまり電磁場)が金属を透過しようとすると反射する。金属光沢というのはそれが原因である。なぜ反射するのか? というと、金属の外部から来た光が、金属内部では電子との電磁相互作用のせいで、光は電子の衣を着る。本来、光は重さがゼロ、質量ゼロのために、無限に遠くまで伝達できる。しかし、金属内では光が電子の衣を着るために重くなる。つまり、質量を持つ。そこでは、単なる光ではなくなり、プラスモンになる。だから、遠くまで伝達できずに反射する、というわけである。

ヒッグスは、こういう南部–ヨナ–ラシニオやアンダーソンの考え方を参考にしながら、ヒッグス粒子のアイデアにしたのである。それゆえ、これは、当初はアンダーソン–ヒッグス機構と呼ばれた。アンダーソンはすでにノーベル賞を「アンダーソン局在」でもらった人である。そんなわけで、ヒッグスは人のアイデアを盗んだのではないかという疑惑が生まれたのである。

ある人が他人が何かを始めたのを知って、始めた他人より先にその人の方がやってしまうということは、物理学などの科学分野では実に良くあることである。先に始めた人は、「自分の仕事が盗まれた」と感じるに違いない。あとから出し抜いた人はなんとなく気の毒な思いにかられるはずである。後味のいいものではない。人間関係が損なわれることもしばしばある。しかし、そういうことが現実に起こったのである。

とまあ、かなり長くなったが、私の記憶の範囲で、いつものように即興で適当にまとめたものである。だから、かなりいい加減な部分もあると思うが、そういうところは適当に何か別のもので補ってもらうことにしよう。

いずれにせよ、「ヒッグス粒子」は、素粒子物理学の分野では、至上命令、なくてはならない粒子、あらねばならぬ粒子であるという、彼らなりの事情、お家の事情があるのである。だから、年中行事のように、完全無欠の結果に至らなくても、何らかの結果を出さねばならないというわけである。また、欧米の年度末のこの時期になると、必ずそういう動きが出るのは、日本でも年度末になると、あっちこっちの道路で工事が始まるのと同じである。3月下旬の年度末に、あっちこっちで巨大地震がどうのこうのという話が新聞やマスゴミを賑やかせたはずである。それと同じことなんですナ。あまり、すげーなどとナイーブに考えてもらっては困るのである。

参考:
南部理論と物性物理学
「LHC実験始まる」
対称性の力学的破れ の物理とその発展
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  by Kikidoblog | 2012-07-05 14:46 | アイデア・雑多

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