欧米に連綿と続く「科学の創始者」の伝統:「APEIRON」と「イグ物理学者たち」

みなさん、こんにちは。

Nobel prize(ノーベル賞)に対して、「Ig-Nobel prize」があることは今ではよく知られているだろう。ノーベル賞は、創立から111年も経った今では、創立時の精神とはまったく異なる。今では企業からの功労賞や政治セレモニーの観すらただよっている。昔の受賞者たちが泣いているに違いない。

さて、そんな時代背景の中でも、やはり古代シュメール時代から連綿と続き、古代ギリシャや古代ローマの歴史と伝統を受け継ぐ西洋の学者の中には、我々日本人や東洋人と違って、科学は自分たちが生み出し作って来たものという自負とともに、真実を徹底的に追求するという、姿勢が今なお続いているのである。(ちなみに、古代ギリシャ人と今のギリシャ人は人種的にも全く別と言われる。古代は今のアングロサクソンに近く、現代ギリシャ人は、スラブ系ルーツといわれる。)

まあ、私自身本当に最近まで知らなかったのだが、「無限=インフィニティー」という意味を持つギリシャ語から派生した英語に"Apeiron"という語がある。この英語を名前にした「Apeiron(アペイロン)」という物理学の研究雑誌があるのである。創刊は1987年。ちょうど私がアメリカのユタ大学に留学して1年目のころである。

この物理学雑誌には、相対性理論に異を唱える実験や理論、量子力学や電磁気学の異なる解釈や新理論などのうち、きちんとした数学や論理や証明に基づかれたもの、地道な物理実験的検証を行ったものなどだけが掲載されている。だから、著者たちは実に立派な科学者、物理学者たちである。

昔なら、ボームの隠れた変数の理論など、こういったいわゆる「別解釈」の理論はこの雑誌の扱う範疇に属すると言えるだろう。こういう実に興味深い研究が掲載されているのである。

いわば、科学研究における「オーパーツ」のようなものである。正統派理論、標準理論というカテゴリーでは扱いきれない、かなり特殊で例外的な物理現象を実験と理論の両面から解明しようという研究者たちが論文を公表しているらしい。

それゆえ、当然と言えば当然なのかもしれないが、「表の科学」の物理学の世界では「業績とは認められない」という。ネット社会の「グーグル村八分」のようなもので、いくらこの雑誌に良い論文を出したとしても、それが学者としてのキャリアには何の影響も無いという極めて不自然な扱いになっているようである。しかし、この雑誌の著者たちはまったくそんなことは意に介さない。悠然と研究を続け公表しているのである。

私が最近私の興味に従っていくつかこの雑誌の論文を勉強しているのだが、実に深く、実に論考的な理論や実験ばかりで、いまでは普通の物理学雑誌に失われてしまって久しい、あの「19世紀の物理学」の雰囲気が綿々として続いているのである。19世紀のファラデーやマックスウェルやヘルムホルツのあの香ばしい、おいしいそうなコーヒーのような薫りが漂うのである。煙草好きで言えば、アインシュタインのくわえ煙草のにおいのような感じと言えるかもしれない。

最近では、一言で言えば、最近の主流派の物理学と言えば「CGアニメ」のようなものである。適当にモデルを変えて、もっともらしいシミュレーションをするか、あるいは、数学者にもなれず、かといって実験センスもない、かといって物理もあまりわからない、そういう輩がやたらと数学的厳密さばかりにこだわる偏執狂的、数理物理学を物理学だと思っているという学者、こういう輩が表の世界の学者世界を乗っ取ってしまった、あるいは、そういう連中に乗っ取られてしまったのである。

これと比べると、Apeiron学者たちの論文は、非常に具体性があり、自分で実験し、自分で理論をこしらえるのである。まさに19世紀にヘルムホルツやファラデーやマックスウェルがやっていたやり方そのものである。

さて、そんな中で私が実に興味深いといま感じているものに、昨日メモしたロシア人マリノフ博士の発明した
「マリノフ・モーター」
Observations of the Marinov Motor
The Marinov Motor, Notional Induction without a Magnetic B Field
e0171614_11405587.jpg
というものがある。これは、いわゆる電磁気学、つまり、マックスウェル方程式が間違っていることを証明する歴然たる反例として知られているのである。このモーターは、ミクロ世界におけるアハロノフ–ボーム効果のマクロ版に相当する現象と考えられている。

真ん中にドーナッツ状の円形磁石(またはコイル)を垂直に置き、それを水平に置かれた金属の円形リングの真ん中に入れる。理想的な磁石では、磁場は磁石の中にしか存在しないようにする。この時、外側の円形リングを回転させる。すると、回転したリング内に電流が生じる。逆に金属リングに電流を流せば、リングが回転する。とまあ、そういうモーターである。

つまり、ファラデーの電磁誘導の法則や磁電誘導の法則のように、磁場の時間変化がなくとも、電流が誘導されるという未知の現象なのである。これはだれでも簡単に(かどうかは分からないが)作れるものである。

この現象に関して、というより、このマリノフ・モーターに関して、1990年代からずっと研究されて来ているらしいが、そういった論文がそのApeironに出されているというわけである。

この雑誌の常連たち、欧米の強者たちの常識とは、
アインシュタインの相対性理論は間違い。そもそもマックスウェル方程式自体が間違い。したがって、赤方変位は存在しない。それゆえ、ビッグバンなどどこにも証拠はない。すべては眉唾物である。
というものである。

もちろん、ここでいう意味の「間違い」とは、「近似的に成り立つにすぎない」とか、「不完全だ」という意味である。彼らは実証されたものしか信じないという、真に本当の意味での「懐疑主義者」たちである。どこぞの「懐疑主義(の手品師)グループ」とは異なる。すべては実験的検証あるのみという実に19世紀的態度なのである。「論理よりは実証」、「数学よりは実験」という人々らしい。

おそらく、新しい物理学の革命が起こりえるとすれば、こんなところから始まるにちがいない、と私は思う。

そんなわけで、彼らを「Ig-physicists(イグ・物理学者)」と呼ぶべきだろう。私の名前も「Ig-uchi、イグ・チ」である。これからは、私も「イグ・物理学者」とでも名乗るか。


追記:(2012年10月23日火)
その後、マリノフ博士のことを調べて行くと、マリノフ博士はロシア人ではなかった。ブルガリア人であった。そして1997年にオーストリアで自殺で亡くなられていた。
Stefan Marinov

Stefan Marinov (Bulgarian: Стефан Маринов) (1931–1997) was a Bulgarian physicist, researcher, writer and lecturer who promoted anti-relativistic theoretical viewpoints, and later in his life defended the ideas of perpetual motion and free energy. In 1997 he self-published experimental results that confirmed classical electromagnetism and disproved that a machine constructed by Marinov himself could be a source of perpetual motion.[1][2] Devastated by the negative results he committed suicide[3] in Graz, Austria on 15 July 1997.
ご冥福を祈りします。
[PR]

  by KiKidoblog | 2012-10-21 11:42 | アイデア・雑多

<< きっと来る、「緑の光作戦」:も... ステファン・マリノフ博士「相対... >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE