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物理の「カルナック神殿」は崩壊するか?:科学を建築に例えるとそんな感じか!?



みなさん、こんにちは。

さて、今回は、いわゆる「科学」に関する個人的印象メモである。大半の人には無関係だろうからスルーを。時間のむだである。

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(あ)既存の科学を一般の人にわかるような比喩で語るにはどうすべきだろうか?
おそらくいちばんイメージしやすいのは「家」などの建築物を比喩にとることだろう。科学の一分野は、1つの建物のようなものとみる。あるいは、科学の1つの理論を建物のように見るというやり方である。かつてアレキサンダー・グロタンディークという大数学者が数学をそうした建築物にたとえていた。

たとえば、「アインシュタインの相対性理論」を大神殿ないしは大都市、さらには1大帝国のように見るのである。我々が、アインシュタインの理論を信じるという状況を、アインシュタインの創りだした都市や帝国の住人のように見るのである。

都市や帝国にはそれぞれの社会規範がある。ルールがある。これが、その科学の場合には、まさにトーマス・S・クーンの言った「パラダイム」となる。

そうなると、私がやっているような小粒な研究というものは、ニュートンやアインシュタインの創りだした大都市の中で、どこかに下宿して、その辺で庭を掃いている
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というようなものとなる。

(い)科学の帝国が滅び始めたらどうすべきか?
さて、問題は、アインシュタインの創りだした大帝国にその綻びが生じ始め、かつてのギリシャ・ローマ帝国のように、徐々に腐敗し、内部崩壊し始めてきた場合、我々はどのようにすべきかということである。

あるいは、アインシュタインの作った巨大帝国が実は、他にもたくさんある別の帝国の1つに過ぎず、どこか他の国へ旅してみたいというような欲望にとらわれたらどうすべきか?ということもある。

ずっとアインシュタインの帝国に一生住み着くべきか、あるいは、こっそりボートに乗って脱出するか、はてまた、他所の帝国の乗り物に乗せてもらうチャンスを伺うか、とにかく何らかの方法を模索するほかはない。

(う)住む世界を変えることは難しい。
しかしながら、どうも人間というものは、この自分の住む世界を変えること、自分が慣れ親しんだ家を変えること、こういうことが一番苦手なのである。特に、若ければ別だが、年齢をかさむに連れ、そういうことができなくなる。

かつてアインシュタインはこう言っていた。「たとえ、自分が10年間心血注いで行なってきたことでも、もしそれが自然と合わないとなれば、次の日にはそれを捨て去らなくてはならない。」

しかし、そういっていたアインシュタイン自身も、結局、自分の住む世界を変えることができなかった。量子力学のボーアの帝国に住み着くことは、まるでドイツの片田舎からニューヨークに住処を変えるに等しかったのである。結局、こつこつと自分の帝国のほころびや修理に余生を費やしたのである。

(え)大学を例えれば、デパートに等しい。
さて、そこでこの観点から教育機関である大学を例えれば、おそらく今ではあまり活況を呈していないが、デパートのようなものである。即興で作れば、こんな感じだろう。
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15F  展望台
14F  レストラン
11F  計算物理学  → スパコン計算
10F  ナノテク   → 量子コンピュータ、DNAコンピュータ、ネットワークコンピュータ 
09F  現代天文学  → 光天文学、宇宙線、電波天文学、X線天文学
08F  高エネ物理学 → 超ひも理論、ブレーン理論、可積分系理論、数論幾何学
07F  非線形物理学 → ソリトン理論、カオス理論、フラクタル理論、複雑系物理学、ネットワーク理論
06F  量子電気力学 → 相対論的量子力学
05F  量子物理学  → 量子力学、物性論、量子光学、原子物理学
04F  統計物理学  → 統計理論、統計力学
03F  電磁物理学  → 電磁気学、電気回路論、電子回路論、電機機器学
02F  流体物理学  → 場の理論、流体力学、航空力学、河川理論
01F  古典物理学  → 力学、熱学、幾何光学、弾性論、音響論、物理数学
地下1F 中世物理学史
地下2F 錬金術
地下3F 古代ギリシャローマの物理学
(忘れたものはご勘弁を。)

まさに英語でDepartment of Physics(物理学部)という意味がこれである。物理のデパートなのである。

(お)大学の先生たちが普通に研究していることとはどんなものか?
というと、実は、デパートの綺麗なお姉さんたちが「いらっしゃいませ〜〜」
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とやっているのと同じだというわけである。それぞれの階のそれぞれの店で、いろいろお仕事をしているというのに等しいというわけである。

すなわち、科学研究はデパートの売り場にすぎない。研究者はデパートの店員や販売員や製作者にすぎないというわけである。

(か)一度作ったものを壊すのはテロ行為に見えてしまう!
さて、こうなると、非常に困ったことが生じる。それは、科学研究というものは、これまでのほころびを追求し、これまでの理論、すなわち「既成の理論」や「既成事実」に反する、新しい現象や新理論を打ち立てるというような場合に問題が出てくるということなのである。つまり、既成の世界に対して、挑戦状を叩きつけることになり、一種のテロ行為、テロリストのようにみなされてしまいかねないということなのである。

例えば、アインシュタイン帝国の物理デパートにとってみれば、我が帝国を破壊せしめん
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とする不届き者となってしまうのである。せっかく、ここまで素晴らしい帝国、素晴らしいデパートを築いたのに、何が不満なんだ。そんなちっぽけな問題、見て見ぬふりしろ。忘れてしまえ。というようなことになるのである。

アインシュタインの時代には、まだ世界にはこれほどまでの物理帝国や物理デパートは存在していなかった。だから、一介の特許局員のアインシュタインの理論にもまともに目を通してくれた。しかし、いまではなかなかそういうことはない。

メンバーシップカードやら、クレジットカード、免許証や身分証明書、さらには渡航ビザのようなものがなければ、デパートの中や、その帝国の中には入国もできない。門前払いを食らうのである。

したがって、デパートの中でしこしこ商売するのは許されるが、デパートを破壊し、新たなるデパートを作り出すのは大変むずかしいということになるのである。

(き)では、なぜデパートが閉店したのか?
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というと、デパートにはデパートの成立する理由というものがある。デパートは都市部の狭い場所を選んで上に伸びて作られた。だから、郊外の広い土地のショッピングモール、それも膨大な土地を駐車場に変えたショッピングモールには太刀打ちできなかった。

また、デパートが存在した周りには、商店街があったが、そういう商店街が潰れていくと、人気がなくなり結局デパートも潰れたのである。

つまり、デパートが栄えるためには、デパートの周りにいつも人がいることが条件であったが、車社会になると同時に、デパート付近には車が入りにくくなったということが原因だったのである。

実は、実際の科学の研究においてもこれと似たようなことが生じ始めてきているのである。

科学のデパートの周りに人気がいない。普通の言い方に翻訳すれば、科学に興味を持つ学生がいない。郊外にもっと広いショピングモールができてしまった。普通の言い方にすれば、インターネットでもっと広い世界から学ぶことができる。

これはかなり深刻な状況と言えるだろう。

(く)新しい帝国は作れるのか?
しかし、上の例はデパートが時代の趨勢に合わずに自ら崩壊したというものにあたるが、科学の場合には、まったく新しい現象や事実や理論を生み出して、まったくあらたなる世界を創りださなくてはならない。その意味では、デパートは邪魔なものでもあるというわけである。

ここに、世界の科学が本質的に停滞してしまう原因があるというわけである。

今の世界の科学は、エネルギー保存則とエントピー増大則の二本柱の上に立てられている。
カルナック神殿
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のようなものである。

果たしてこの文明を建設的な意味で崩壊させる強者、新しい帝国の王は生まれてくるのだろうか?
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私個人は、意外と近いと信じているのですナ。

  by KiKidoblog | 2013-03-04 18:10 | アイデア・雑多

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