ファミリービジネス3:宝石企業団地とレストラン・ダイヤモンド

(つづく)


(う)宝石企業団地の設立

我が家が甲府市の高畑町という場所に引っ越した頃、私は当時の国母小学校に通っていた。

そんな1960年代の甲府の研磨業者は、研磨剤(=磨き粉)として六価クロムの主成分の粉を使っていた。

私の記憶では、いまのセメントの袋
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のようなものに、ぎっしりと緑色の粉が詰まっていた。それに小さい穴をあけて、すこしずつ取り出して、それをビンや箱に入れて、研磨機の横においておく。それを手ですくっては水を流して加えて粘土の状態にする。それを研磨するべき水晶にふりかけてろくろを回して研磨したのである。

今はこんな感じ。
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だから、この研磨剤は甲府の宝石研磨業者にとっては必需品であった。

したがって、研磨剤が溶けた水、すなわち、排水はそのまま近くの川や溝に流していた。

ところが、この研磨剤には六価クロムが入っていることがのちのち分かってきて、それが公害になるという話が持ち上がったのである。つまり、六価クロムの有害性が問題になったのである。だから、これまでのように廃液を川や溝に垂れ流すのはよろしくないのではないかという問題が持ち上がったのである。

しかしながら、これまで通り流し続けても特に苦情もなく、問題もなく、最初はそのままにしていた。業界全体でもこれまでどおりにしていたのである。

ところが他の地方で六価クロム公害というものが騒がれ始め、これはまずいぞということになって、甲府市の研磨業界も何かの策を打たなければならないということになったのである。しかし、どの零細中小企業もそんな最先端の浄化槽を設置する余裕はない。そんな金も土地もないからである。もちろんそんな事の出来る人材もいない。

そこで、私の父がみんなの反対を押し切って、「宝石企業団地」というものを構想した。同じ場所に研磨剤をたくさん使う研磨業社が集まり、その場所に共同の公害設備=浄化槽を作り、そこに廃液を流し浄化された水を川に流す。こういう施設を県の協力を得て実現したのである。そして、ついでにそこに観光客をバスであつめ、即日販売する。

これは比較的県も乗り気で意外にもすんなりと出来上がったように見えた。だがしかし、出来上がると、それまでの立地条件と設立後の立地条件が変わってしまったのである。公務員のご都合主義のために、即日販売もできるよということで誕生した企業団地が、設立後では、企業団地内での販売営業は禁止になったのである。

どうも山梨県というのは歴代こういうことをやる伝統があるようで、今回山梨に帰ったら、甲府駅前の再開発でもまったく同じようなドタキャン騒ぎを引き起こしたそうですナ。よほどのバカが上にいるのだろう。

約束は口約束でも約束。後になってそれはなかったということはあり得ない。ましてや構想段階で契約書に書かれたことを後になって書き換えることは不可能なのである。これができるのは、韓国人くらいのものである。

しかし、そういうふうなことを山梨県の県庁の公務員は頻繁にやっているようである。

というわけで、結局、県の産業の無公害化に成功した「宝石企業団地」という施設ができたにもかかわらず、そこで営業ができない。つまり、そこで実演販売できないというわけである。

こうして、せっかく無公害の工場施設で研磨された水晶宝石ができているのに、そこで営業できないという矛盾に苛まされ、結局ここも衰退していったというわけである。苦肉の策で考えたものが、そうやってみんなが研磨した水晶を販売する場所である。それが、最初の「レストラン・ダイヤモンド」
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だったのである。



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  by kikidoblog | 2013-11-05 13:18 | ファミリービジネス

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