ソニーの凋落の原因はソニー病:「スカリーはソニーと同じ病気にかかった」

「いい芸術家は偉大な芸術家の真似をする。最高の芸術家はそれを盗む。」

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(もちろん、盗むの意味は盗作ではなく、その精神を盗むという意。)


みなさん、こんにちは。

昨日は、たまたまスティーブ・ジョブズの「1995年の失われたインタビュー」のことを見つけてメモしたのだが、これまた偶然にも戦後の日本の復興とバブル全盛期の日本の象徴となったソニーの凋落の記事が重なった。それでその2つを関連付けた。これである。
iPhone X?:この16年の「ウェアラブル・コンピュータ」の進歩は凄まじかったナ!


ソニーの凋落の原因を探る記事は今日もさまざまなメディアで出ていた。たとえば、こんなもの。
赤字転落 ソニー独り負けのワケ
ソニーの“独り負け”が鮮明になった。日立製作所など他の電機大手が好決算をたたき出す中での赤字転落。特にパソコン事業の売却とテレビ事業の分社化は、かつて「技術のソニー」と称された名門企業の凋落を印象付ける。
  「この規模の構造改革はここで打ち止めにしたい
  平井一夫社長は記者会見で、赤字は人員削減などに伴う多額の構造改革費用が主因との認識を示し、今回の事業整理を再生への一里塚とする考えを示した。
 パソコン事業から撤退し、今後はスマートフォン(高機能携帯電話)とタブレット端末に経営資源を集中する考えも強調した。ただ、そのスマホ事業も苦戦が続く。世界シェア3位以内を目指し、昨年は米国や中国の携帯通信会社に端末の供給を始めたが、4200万台としていた販売計画を4千万台に引き下げた。
 電機大手の平成26年3月期決算では日立が23年ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。シャープやパナソニックも黒字に転換する。
 苦境が際立つソニーだが、かつては携帯型音楽プレーヤー「ウォークマン」などを世に送り出し、世界中の人があこがれるブランドだった。
 日立やパナソニックなど国内のライバル企業がテレビやスマホ市場から撤退・縮小を始める中、ソニーだけは技術力とブランド力への自信から、韓国サムスン電子や米アップルなど世界の強敵との競争にこだわってきた。ただ、その自負心が足かせとなり、傷口を広げた感は否めない。

 第3四半期の決算発表で、厳しい表情で会見に臨むソニーの平井一夫社長=6日午後、東京都港区(大山実撮影)
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(この手の社長はいい背広を着ていい車に乗るために社長をしている感じだが、ジョブズもゲイツも金が目的じゃないと言っている。)

  4~12月期はスマホなどのモバイル機器分野が76億円の営業赤字を出したのに対し、ゲーム、映画・音楽、金融の3分野で計1878億円の黒字を計上。今のソニーを支えるのは製造部門ではなくなった。
 「若いころはゲーム、大人になってからは映画・音楽、最後は金融分野で生涯つきあえるようなビジネスモデルを構築すべきだ」(メリルリンチ日本証券の片山栄一調査部長)との指摘も聞こえる。
 パソコン事業売却が報じられた今月5日に、株価が前日比5%も上昇するという皮肉な現象は、ソニーの自信を市場が過信ととらえていたことを示す。
  「ソニー全体の成長を全うしていくのが私の使命だ」と背水の陣を敷いた平井社長。世界を席巻した「SONY」は今、大きな岐路に立たされている。(米沢文)

出井元社長、この平井社長とソニーがバブル全盛期にウォークマンでブレークした時代に出世しただろう人たちが社長になると、時代の趨勢に翻弄されて見事に同じ轍を踏む。そうやってだめになる。絵に描いたようにドツボにハマる。実に興味深い。

また、そういう企業にべったりの番記者をやっていた連中も同じ轍を踏んでまったくその原因がわからない。まさに日本病なのだが、この問題をスティーブ・ジョブズが生前に如実に語っていた。今回はそういう話だけをピックアップしてメモしておこう。

(あ)「アップルはソフトの会社です。」
まずジョブズがゲイツといっしょになって、ソニーの失敗を語った部分。これである。
スティーブ・ジョブズが語る 'ソニー失敗の本質'と'アップルの


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ここでジョブズやゲイツがいっている意味の「ソフトウェア」とは、いまいうアプリケーションのような個々のソフトもそうだが、そういうものを作り出す理念や設計思想やひいては哲学や文明観などすべてのアイデアに関するものをひっくるめたものである。その結果、ものづくりがうまくいくということである。これを今のソニーや日本企業は理解していないのである。

一見無駄にみえるような芸術家や歴史家やさまざまな分野の専門家で自分の企業でやっていることにも興味を持つ人材を集めないと、本質的に面白いことや真の進歩は生み出せないということを「アップルはソフトの会社ですよ」と言っているわけである。

(い)「スカリーはソニーと同じ病気にかかった」
もう一つの面白いのは、1995年の失われたインタビューである。これである。
スティーブ・ジョブズ 「失われたインタビュー」 1995


これは1995年アップルに返り咲く直前その数カ月前に語ったことである。当時の社長スカリーは、ジョブズが「一生このままペプシづくりでいくのかい?」といって引き抜いて社長にしたのだった。が、そのスカリーがそのジョブズを追い出して独占体制を敷いた結果、今のソニーのように大不振を引き起こして倒産の一歩直前に陥っていた。その頃の話である。

この中で、ジョブズはどこの企業でも起きることだがと前置きをして、「スカリーは病気にかかった」と言った。それが日本で言う「大企業病」、あるいは、「殿様商売」。こういう「病気」にかかったというのである。要するに、「いつしか普通の社長さんは、自分が優秀なんだから、優秀な社員に自分の偉大なアイデアを伝えれば、それを社員が実現するものだと勝手に思い込んでしまう」ということである。「いや、そうじゃないんだよ。実際には幾多の切磋琢磨があって初めて奇跡的な新商品が生まれるんだよ。アイデアの段階から本当に新製品に至るまでには何千もの問題をうまく処理していかなきゃならないんだよ」と言っている。それがここ。
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(う)「人の一生は12歳までに決まる」
最期に私個人が非常に興味深いと思ったのは、日本で言う「三つ子の魂百までも」という格言に似た部分である。西洋では「人の一生は12歳までに決まる」と言われるものである。これをジョブズも自分で見事に語っていたのである。これである。
full version
このフルバージョンの最初の方にある。

ジョブズは11歳の頃、ある電気システムの発明をした。それを当時のヒューレットパッカードに問い合わせたら、ちゃんと話を聞いてくれ、その夏にはサマーインターンとして11歳にも関わらず、その会社で仕事させてくれた。この時に見た当時の世界最先端企業の中の印象がものすごく、これこそ未来だと自分が思ったのだという部分である。これが後に「正しい場所に正しい時代に生まれ落ちた自分が実にラッキーだった」と述べることに繋がったのである。その後のジョブズの人生は、このヒューレットパッカードの社長の英断にかかっていたのである。

実は、この問題は実に大事なもので、いわゆるカルト宗教や宗教の「洗脳」というものの本質もここにある。12歳以下で信じこまされてしまうと、これは一生抜けないのである。それほど脳の奥深くに刻み込まれるのである。

同様に、小児虐待がなぜいけないかというと、その時に受けたトラウマが一生抜けなくなり、逆にそれに引きづられるようになるからである。少女がこの時期に性的虐待を受けると、これが一生抜けなくなり、頭ではわかっていても身体から離れないというような感じの事が起こり、結局、虐待した側に取り込まれて、悲惨な人生を歩むことになるのである。

翻って、私自身はこの時期、ちょうど野球部に入ろうとした頃で、父親に「やるからには絶対途中で辞めるな」と約束してやり始めたのである。「そういう強い意志を持て」といってスポーツをやり始めたのである。考えてみれば、結局どんなに人生が紆余曲折しようが、この感性が抜けず、スポーツはいまも続けているし、一度やり始めた理論物理学者も今もってやり続ける結果になったというわけである。

このように、11〜12歳、日本では小学校高学年のころ、この時期に人間は一生の目標とその傾向が定まるのである。偶然、この時期に目にしたものや体験したこと、これが人生を決めるのである。

ジョブズにかぎらず、ゲイツもそうだったのである。同じ頃、ゲイツはソフト作りのバイトをやり始めたのである。パンチカードに入力し、大企業のアルバイトを始めたのである。これがゲイツの一生を決めたのである。

ところが、昔の日本の学校の場合には、この時期の小中学校にかつての士官学校出の非常に優れた教師が務めていたが、いまの戦後の日本の学校では、だいたい大卒あがりの若い、まだ未経験の未成熟な子供のような先生たちが教師をしているのである。そしてそこからまったく同じような生活だけを続けてきた年配の教師たちがこの大事な時期の少年少女を教えている。これが戦後の日本人に偉人がでなくなった理由の一つなのである。要するに、子どもたちが「これだ」と思うような最先端を見る機会がなくなったのである。これは、日教組がどうのこうのいう以前の問題である。

幸い日本の場合、学校以外に塾やら家庭教師やらクラブやら、少年野球やサッカースクールなど、複線的に他の組織の中に良い大人が少なからず残っているから、スポーツにおいては今もって大選手が育っているのである。しかし科学技術の分野でどうしても遅れをとるのは、12歳前後の子どもたちにそういう最先端の場を見せる機会がないからである。

つまり、ジョブズが言ったように、「正しい時期に正しい場所に生まれた」という状況を子どもたちに作ってやれないことである。

人生は多くの偶然が関わるものだが、良い偶然の積み重ねが起きないと、大人物にまで成長できるような人材は育たないのである。東大エリートというだけでは、そこからゲイツやジョブズが生まれないのはそれが理由なのである。つまり、12歳までに強烈なものを持たない人間が上についても結局、ソニー病やスカリー病にかかるだけに終わるのである。


とまあ、こんなことを考えさせてくれるものだった。


しかしながら、ジョブズの死期を早めたのは、やはりスカリーがジョブズを追い出したことによるストレスだったのではないか?と私には感じられるのだがナア。20代前半で100億万長者になった人間が無職になったわけだ。私のように最初から無職のようなものが無職になるのとはわけが違う。これについてはまた今度。




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  by kikidoblog | 2014-02-07 10:46 | 人物

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