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本はカッコよくあれ!:表紙にマックスウェル降臨で売れ行き好調!?

みなさん、こんにちは。

いやはや、驚き、桃の木、山椒の木。拙著に関する、実に不可解かつ興味深いことが起こった。

今回は私個人が出版した本の話をメモしておこう。したがって、普通の人や他人にはあまり関係ないことだろうから、無視するスルーして欲しい。

さて、先日、2年ぶりで拙著「マックスウェルの電磁気学」が表紙改訂された。これである。
拙著「マックスウェルの電磁気学」にマックスウェルが降臨!

旧版
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(ちなみに、私は無宗教者で、創価学会でも幸福の科学でもない。もちろんクリスチャンでもモルモン教徒でもない。むしろ、八百万の多神教の方である。)

新版
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この本は、私が約2年前に出版したものである。その前に2年ほどかけてじっくりとマックスウェルの原論文を読み、少しずつ日本語に翻訳してきたものである。

マックスウェルの英語は難解を極める。おそらく普通の理論物理学者でもマックスウェルの英語を理解できるものは英米人日本人を問わずあまりいないだろう。それほどの難論文であった。

もちろん、私自身この論文など手にとって見たこともなかったわけだから、比較的最近までおそらく10年前頃までは、マックスウェル方程式こそ、かのマックスウェルが発明したものだと信じていたのである。

実は現実の歴史はそうではなかった。我々がマックスウェル方程式と呼んでいるものは、ヘビサイドとギブズが生み出したものである。だから、このヘビサイドのマックスウェル方程式にはベクトルポテンシャルは表に出てこない。裏方になった。ところが、マックスウェル自身が生み出したものは、ベクトルポテンシャル(彼は電磁運動量と呼んだ)がまさに真髄の役目を果たす。

私の場合、そもそもなぜマックスウェルの原論文を読むに至ったかというと、それは電磁場に縦波が存在するか否かを研究し始めたからであった。そうすると、なぜマックスウェルは電磁場には横波しかないと考えるに至ったのかを知らなくてはならない。だから、結局マックスウェルの原典に戻る他なかったのである。

また、10年前でもイギリスの昔の論文をインターネットでダウンロード出来る手段はなかった。私がここ阿南に来た当時の1996年以前はなおさらであった。その当時マックスウェルの原論文を読みたければ、東大か京大、あるいは、イギリスのケンブリッジ大に行くほかなかった。だから、だれか知り合いに無理やり頼み込むほかはなかっただろう。

しかし、数年ほど前からインターネットはさらに進化し、海外のさまざまなサイトに無料でダウンロードできるサービスができた。またグーグル・スカラーというサービスで、そういう論文を自動サーチできるようになった。これが大きい。

だから、10年前以前では私のように独立系物理学者が古典論文を自宅で研究するという可能性はゼロだったのである。いまだからそれができる。

さて、そうやって幾多の原論文を勉強したが、さすがにせっかく日本語に翻訳したのだから、(これはLaTex2e*という学者用日本語ワープロソフトの使い方の勉強も兼ねたのだったが)、本にしておきたい。そう考えた。

そこで、それ以前に超マイナーな本を何冊か出版した太陽書房から再びごくマイナーな本として、このマックスウェルの電磁気学を出版したのである。

なぜか?

この太陽書房は、アカデミックな学術本は「ただ=無料=料金なし」で出版できるからだ。

しかし、そこには制限がついていた。

何か?

表紙はあの創価学会三原色に似たものしかだめだということだった。

まあ、それでもただだから、ありがたいということで出版したのである。

日本にも世の中には珍しい人がいて、こんな超マイナーな19世紀の学術論文の本を買って、勉強しようという人がいる。ほんのわずかだが、ありがたいことである。

だから、出版して最初の1年はわずか「数冊」程度売れたのみ。もっとも、他の拙著も年に数冊売れるか売れないかだから、1年の印税といってもせいぜい3000〜5000円程度のものであった。

ところが、昨年暮れに私のマックスウェル研究やニコラ・テスラ研究やベアデン研究やドラード研究やさまざまな電磁場の縦波研究者の論文研究を聞きつけたヒカルランドからニコラ・テスラの本を書いてくれという依頼が来た。

そこで昨年の今頃寝食削って頑張って書いたのが、拙著のニコラ・テスラ本の2冊だった。最初は1冊の予定だったが、長くなりすぎて分冊となった。書いている内に、気合が入ってしまったのである。

これらが昨年の暮れ11月、12月に出版されると、これに応答して、このマックスウェルの電磁気学も少し売れるようになった。なぜなら、マックスウェルのオリジナルこそすべてだという主張を上下のそれぞれに書いたからである。電磁場の縦波の有無についても、UFOのエンジン制作においても、いずれでも結局マックスウェルの時代まで遡らなくてはならない。そう書いたからである。

すると、私への印税というのは微々たるものだから、そしてまだもらっていないが、私の見積では100部程度は売れたようである。すると、太陽書房として異例の売上だから、すこし余裕が出たのだろう、表紙をマックスウェルに変えたいと依頼が来た。

他でもない。私自身は最初から、表紙は創価学会三原色はだめだ。客が引く。他の色にしたら?、と言っていたわけである。だから願ってもないことだ。

そんなわけで、つい最近2、3日前に改訂されたわけである。

そこで、ここで一応それをお知らせしてみた。どうせあまり興味はないだろうと思っていたからだ。

ところが、どうしたことか?

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なんなのこれ?

驚き、桃の木、山椒の木、である。

実に摩訶不思議である。

そこで、ふと考えてみた。

いったい何が売れ行きに作用したのだろうか?と。

表紙が違うだけで中身はいっしょ。マックスウェルの原論文の日本語訳だ。

結局、私の答えはこうだ。

本はインテリアになる!

つまり、この本はカッコいいのだ。だから、中身はわからなくてもお守りのように手元に置いて眺めてみたい。なんかこんなことではなかろうか?

というわけで、この出版不況の本屋さんに言いたい。特に学術専門書や科学書などを取り扱う出版社にいいたい!

これからの学術書は見た目をかっこ良く作れ!
カッコいい教科書。カッコいい物理の本。
表紙がかっこよくてインテリアになる。
カッコいいから、いつも見ていたい。置いておきたい。
美しい本。本として美しい。

まあ、こんな感じの本を作って欲しいということですナ。ここにヒントがある。

本はその人の家の雰囲気をアカデミックに演出する知的インテリアなのだ。

読まなくてもいい。いつか中身を読むこともあろう。でも、いつも眺めていたい。

そう考えると、確かに今度の本は若き二枚目のマックスウェルが微笑んでいる。

そうだ、この私がマックスウェルだ、と言わんばかりの落ち着きがある。

どうも私自身はこんな考えだが、表紙が変わっただけでこんなにも売れ行きが変わるとは驚きですナ。


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  by kikidoblog | 2014-08-06 14:56 | アイデア・雑多

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