もう1人のキヨシ:岡潔博士もすごかったが、伊藤清博士もすごかった!

みなさん、こんにちは。

今回はかなり数理物理的なメモだからして、普通の人には興味ない話だからスルーを。天才数学者の岡潔博士のことはかなりメモしてきたから、今度はもう一人の天才数学者の
伊藤清博士
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のことである。


さて、保江邦夫博士の「確率量子化」の理論の基本は何だといえば、それは「現代確率論」だろうということになる。マルコフ過程からベルンスタイン過程(これには思想上非常に興味深い点がある)へ拡張する中で、量子力学のシュレディンガー方程式を確率論の流儀で再定義したということになる。

そこでのポイントは何だったかというと、これは「確率微分」「確率積分」という概念であった。これらを発展させた人物こそ、伊藤清博士だった。

ところがなんと、いま後から見れば、ちゃんとウィキには書かれていたが、今のいままで私は全く知らなかったのだが、この伊藤清博士は、戦前の当時の大蔵省の内閣主計局というところの官僚であったのである。官僚が確率論を1人で研究し、世界に衝撃を与える偉大な業績を遺されたのであった。

そして、その大蔵官僚が気付いた数学が、戦後の株式市場でもっとも重要となり、すでにノーベル経済学賞を授与されたという、あの
ブラック・ショールズ方程式
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の原型、基礎理論をもたらしたのである。

非常に簡単に言えば、この方程式は、伊藤の確率微分方程式の理論を指数関数の肩の上に乗せたものにすぎない。あるいは、ある関数の対数の確率微分方程式というものである。空間内の粒子のブラウン運動を、対数のブラウン運動と見たというようなものである。というのも、自然の空間は成長しないが、経済は指数関数的に成長するからである。

これほど重要な伊藤清博士の業績をどうやらさらに拡張した数学者がいたらしい。それが、
ポール・マリアヴィン(Paul Malliavin)
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というフランスの数学者である。この人が創始した数学を「マリアヴィン計算」というらしい。

実は、保江邦夫博士の例の「物理数学における微分方程式」
物理数学における微分方程式:保江邦夫

2015年、きっと来る、保江博士のお弟子さん!?:悪魔の「数理物理学方法序説」
の最後の方に、保江博士の業績に対して、このマリアヴィン博士が非常に高く評価したという話が出ていた。恥ずかしながら、私はこのマリアヴィン博士の存在も業績も保江博士の本を読むまでまったく知らなかったのである。

また、保江博士のその本の最後の方に、非線形波動方程式のKdV方程式の話題があったのである。そこでは、連続群論の1例という取り上げ方だったが、そこにラックス・ペア理論が分析されていたのである。無限次元空間における流体として。

私もソリトン理論はさんざん学んできたからよく知っているが、この分野には非線形波動方程式のKdV方程式をシュレディンガー方程式のポテンシャルと見ることができるという、ミウラ変換なるものがある。方や、保江博士は、ブラウン運動する量子とシュレディンガー方程式は等価にできるという手法を発明した学者である。だとすれば、ソリトン方程式の波動をシュレディンガー方程式のポテンシャルと見るなら、ソリトン理論にも保江流のブラウン運動の量子化問題と見ることができるはず。

とまあ、自明な推測をしてちょっと調べたら、やはりあったあったというわけで、なんと九州大学の谷口説男博士がやっていたのである。そこで論文を見ると、こんなものであった。
確率解析の KdV 方程式への応用について
Stochastic Processes and their Applications

そこでさらにもうちょっとこの谷口博士の研究を調べると、ビンゴ!この谷口博士の専門こそが「マリアヴィン計算」であったのである。

よほど保江博士は「マリア様」に好かれていると見え、その好敵手の創始者の名前にもマリア様が付いていたのである。実に面白い。

今のところ、ソリトン方程式とソリトン解そのものにはまだ保江方程式を用いたという研究はないように見える。

ところで、その大権現の伊藤清博士の初期の論文は、英語圏に英語で紹介されるずっと前に終戦時か終戦直後か1942年に日本語で出版されていたものらしい。なんとそういう日本語の、それもカタカナ文の時代の論文が「伊藤清博士生誕100年事業」の一環としてだれでも読むことができるようになっていた。以下のものである。
伊藤清生誕百年記念事業

初期のものの大半が、大蔵省主計局の官僚だったころの研究らしい。

残念ながら、当時の大蔵省はこの研究の偉大さにはその後何十年も気づかなかったものと思われる。


おまけ:
実は、伊藤清博士の確率微分方程式の拡張の方向にはもう一つの方向がある。それが、「確率フラクタル微分方程式」というものを生み出すことである。時空間をフラクタルにした世界の量子のブラウン運動の理論である。この分野の創始者の1人がもちろん、あのマンデルブロー博士であった。どうしてそれが必要かというと、実はブラック・ショールズ方程式にも、保江理論にも弱点があるのだヨ。それは、ウィーナー過程やマルコフ過程やベルンシュタイン過程の大前提に標準分布(正規分布)というガウス型の分布を仮定している。が、この大数の法則からくる結論がフラクタルでは成り立たないのである。
現実的でない2つの仮定[編集]
ブラック-ショールズ方程式は、価格の変化率の分布が正規分布に従うという仮定を置いている。しかし現実の金融商品では必ずしも正規分布が成立しない。例えば、価格変化率の確率過程のマルチンゲール性によっては伊藤の公式は成り立たない。そしてブラック-ショールズ方程式は伊藤の公式を利用して導かれている。よって伊藤の公式が成り立たないとき、ブラックショールズの解は現実世界から乖離する。この方程式を金融実務へ応用することには批判がある。
また、ブラック-ショールズ方程式は現実に成立した市場価格のみを参照情報としている。この式を利用した運用は、いわゆるパッシブ投資法[10]である。つまり、現実の企業活動[11]への評価や予想を織り込んだ長期運用、あるいは市場参加者(投資家)の心理や損益状況、特定投資家が特別な状況に追い込まれていることを逆手にとったアクティブ投資戦略[10]にとっては、その投資戦略があからさまに読み取れて格好の攻撃対象になる可能性がある[12]。
また多くの現実世界の現象にもガウス分布が破れるものがほとんどなのである。ネットワークはスケールフリーなのである。このスケールフリーネットワーク上の量子のブラウン運動を考えると、実はフラクタル微分方程式が現れる。その結果、シュレディンガー方程式は、フラクタル微分シュレディンガー方程式になる。はたしてこういう場合のポテンシャルは?こういう場合の確率分布はいかに?というような問題である。もちろん、それを俺がやりたいところなのだが、この紙面にはもう余白がない。俺には時間がない。だから、だれかにやって欲しいところである。というわけで、一応メモしておいた。若者よ、完成しろ!




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  by Kikidoblog | 2015-01-15 11:23 | 人物

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