バックミンスター・フラーの「ダイマキシオンカー」
––バックミンスター・フラー
みなさん、こんにちは。
日本には「国際派」とか「ワールドクラス」というような言い方がある。これは”日本という一国を超えて”活躍することが出来るような人のことである。しかしこれではあくまでこの”地球上”でのお話、この世に人間のいる場所が地球しかないと仮定した上でのお話にすぎない。
これを拡張すれば「銀河系派」とか「ギャラキシークラス」とでも呼ぶべき言い方もあろう。もちろん、これは人が住む場所が銀河系全体にたくさん存在すると考えた場合のことである。さらに、1つの銀河にこだわることなく宇宙全体に拡張すれば、「宇宙派」とか「コスモスクラス」と言うことも出来るだろう。さらには「双子宇宙」まで拡張すれば、「多宇宙派」とか「マルチコスモスクラス」と言うことも出来よう。
さて今日からしばらく話題を変えて、そうした「ギャラキシークラス」の地球人であったバックミンスター・フラーのことを紹介して行きたい。
"RBF"こと、リチャード・バックミンスター・フラーは、20世紀最大のアメリカの建築家の1人であった。彼は”建築家”と言っても単なる建築家ではなかった。なぜなら彼は建築にとらわれることなく、自動車、飛行機、飛行体から始まり都市、政治、教育、果ては数学や科学までありとあらゆる分野に実に独創的な貢献を行った人物だからである。こういうテーマをフラーは「デザインサイエンス」と呼んだ。
私がかつてフラーの本を書いた頃は、まだYouTubeはなく、1983年に亡くなったバックミンスター・フラーの生前の姿や声を知ることはできなかった。しかし、2008年になりどんどん昔の映像を公開し始める人が現れてきた。それゆえ、私はそういう人々やYouTubeの制作者に心から感謝したい。
まずは以下のものがあった。
ダイマキシオン自動車(ダイマキシオンカー)
The Dymaxion
dymaxion car
Buckminster Fuller's Dymaxion Car
これは1933年のシカゴ万博に出展した時の映像のようである。映像をみればかなりショッキングなことに、今現在の大半の自動車よりフラーの「ダイマキシオンカー」の方が性能が良さそうに見えることである。操縦性、経済性、安全性などあらゆる点で当時のフォード車などに勝っていたばかりか現在の車にも勝っている感じがする。しかしシカゴ万博の最中、悲劇的な事故でダイマキシオンカーは破壊され、歴史から抹殺されてしまったのである。
ところで現代にもフラーのダイマキシオン精神は生きていた。以下のものは日産の最新デザインカーである。明らかにフラーのダイマキシオンカーのリバイバルであろう。
The Whalemobile Concept Car
いずれにせよ、現代の科学技術を使えば、バックミンスター・フラーの「ダイマキシオンカー」も実現できることは間違いないだろう。
「デザインから言えば、今の自動車は後ろ向きに走らせた方が速い」
といったフラーの洞察力はすばらしい。
by Kikidoblog | 2009-04-14 11:50 | フラー