HAARPの磁力計と地震予知学:インダクション磁力計とフラックスゲート磁力計
今回は、税金の無駄となったNASAの水爆LCROSSとはちょっと話題を変えて、HAARPの電波計測器のことを紹介しておこう。いわゆる「Fluxgate Magnetometer(フラックスゲート磁力計)」と「Induction Magnetometer(インダクション磁力計)」
に使われている装置のことである。ちなみに、こういう装置は東大製らしい。東京に大地震を起こそうとしている海外の軍事組織に東大の研究者が軍事研究協力するというのは実に興味深い話である。
まずともにファラデーの電磁誘導の法則を用いた、原理的には簡単な装置である。要するに、どこかにコイルを置いておくと、そのコイルの近くに磁力を持つものが近づけば当然そのコイルにその物体からの磁束が通過する。その際にそれを打ち消すようにレンツの法則によって電気が流れる。この電気信号を増幅して表示するという機械である。現実には、3つのコイルをx、y、z方向のそれぞれに向けて配置して3軸方向で測定するというものらしい。
これらの原理については以下のものがある。
Fluxgate Magnetometer(フラックスゲート磁力計)
Magnetometer
インダクション式とフラックスゲート式の違いは我々専門家以外の人間には非常に分かりにくいが、1つの長い非常に多重に巻いたコイルに別の2次コイルを巻き付けて、電磁誘導により2次コイル内の電気信号を検出するのが、インダクション式。そして、2つのコイルを右巻きと左巻きにして平行に設置してその2つの周りに2次コイルを巻いてその2次コイル内の電気信号を検出するのが、フラックスゲート式。だから、インダクション式の場合にはコイル内に磁場が侵入すれば電気信号が得られるが、フラックスゲート式の場合には、左右の2つのコイルに同じように磁場が侵入した時には信号ゼロだが、左右で差があれば信号が得られるということである。この原理の違いから、インダクション式は磁場の大きさの時々刻々の値をみるが、フラックスゲート式は磁場の時々刻々の変化の度合いを見る。言い換えれば、磁力の強さとその微分という関係である。まあ、だいたいこんな感じである。だから、一応両方を設置する必要があるということだろう。
具体例を探すには、グーグルなどで「インダクション磁力計」あるいは「フラックスゲート磁力計」と打ち込んでみたらよい。驚くほどたくさんの機器メーカーが作製して市販していることがわかる。これには私も驚いたが、それも当然。この手の技術は第二次世界大戦中にすでに開発済みのかなりのローテクだからである。
ここにほんの具体例を2つのみ紹介しておこう。例えば、以下のものである。
「フラックスゲート磁力計」
傾斜補正式3軸フラックスゲート磁力計(DMI-FGE-91-C)
「インダクション磁力計」
MEDA3軸ベクトル磁力計FGM400
さて、問題は、磁力計が得られたら何ができるか?ということである。どうやらこの磁力計というものには、肺の中のタバコの害の検出から地球磁場の変化や地震時に発生する地震予兆電波に至るまで、つまりミクロからマクロまで非常にたくさんの使い道があるようだ。興味のある人はネット上で自分で勉強できる。ここでは、「地震の予知への応用」ということだけを紹介しておこう。結論から言えば、「地震予知は可能」であるということになる。
私は最近まで地震予知の研究者としては、e-PISCOの弘原海博士や昔のEPIO八ヶ岳電波観測所の串田氏くらいしかしらなかったが、非常に幸いなことに、日本にはこの分野には数十人の非常に優れたエキスパートたちがいる。もちろん、マスコミには全く知られていないが、数多くの専門書や解説書を書いている人々がいる。2人あげれば、以前
に登場する阪大の池谷元伺博士、電気通信大学の早川正士博士がいる。残念ながら、池谷元伺博士はこの番組収録後2006年にお亡くなりになったようである。
残念なことは、一般の日本人や日本政府官僚や大半の大学人は、「東大の地震研究所や気象庁の地震研究所の研究者”だけ”が地震を研究している」と誤解していることである。簡単に言えば、「地震学者だけが地震を研究している」と思っているということだ。
ところが、地震という物理現象は、地震学、地球物理学、気象学、宇宙物理学、鉱物学、物性物理学、電波工学、海洋学、生物学などなどほとんどすべての科学分野に絡む現象である。なぜなら地球の広範囲に及ぶ、ミクロからマクロに関わる物理現象だからである。このことは専門家でなくてもだれにも分かるだろう。にもかかわらず、「地震学という小さな一専門家集団が地震を研究し他は地震研究者ではない」と主張しているのが我が国の現状という、実にあほらしい現実がある。だから、電波学者が地震の直前に異常電波を非常に高精度で検知したと主張しても日本の地震学者はそれを無視する。一般のアマチュア電波研究マニアがFM電波の異常電波を地震直前に観測したと主張しても地震学者からクレームが来る。なぜなら地震学者の手法は海底や地中や地上に設置したいわゆる「地震計」による観測だけだからである。
物理学には、例えば、物性物理学には、力学、光、熱、震動、電気、磁気などさまざまな分野がある。1つの物質をこの物質を暖めたり冷やしたり、音を聞いてみたり、レーザーで光を当てたり、電気を流してみたり、磁石を近づけたり、ハンマーでたたいてつぶしたりとありとあらゆる方法でありとあらゆる方向から研究する。これが物理学者の伝統である。地震という現象はかなり狭く地球物理学という極限られた物の見方で考えたとしても、地球物理学の一現象にすぎないことは明らかである。
ならば、たとえそれが地球規模の広大な物質群(地殻やマントル)であったにせよ、物理学者と同様の方法でさまざまな角度から研究するのが筋というものである。ところが、そういう状況になっていないのである。悪いことに、日本の地震学者は自分たちの頭の悪さを公表するかのように「地震予知は不可能」ということにしてしまったという話である。
ところが、なんと日本と同じ地震大国のギリシャでは政府が地震予知研究に十分な資金援助を行い、ほぼ90%以上の確率でM5以上の巨大地震の予知を実現しているというのだ。もちろん、日本の馬鹿マスコミは報道しない(まあ、連中は日本に寄生し、いいところだけ吸いたい寄生虫軍団だからしょうがない)。
まあ、こんな話題をつぶさに紹介している人物が、早川正士博士である。早川博士の「最新・地震予知学」という本は実にすばらしい本である。ここ最近のHAARPに関わる地震や磁力計の話などが分かりやすく書かれているからである(とはいっても、この本が書かれたのは1996年。もちろん、まだHAARPはできていないかったりまだ知られていなかったわけだから、HAARPのことは書かれてはいない)。
最新・地震予知学―電磁波異常でわかる、その前兆
こんな本を読んで勉強すれば、いいかげんな地震予報などせずに、今回のHAARPの磁力計の変化をつぶさに読めるようになる”はず”なのだが、それについてはまた今度にしよう。
ついでに亡き池谷元伺博士の本も紹介しておこう。
地震の前、なぜ動物は騒ぐのか―電磁気地震学の誕生
こういった本の内容が常識となれば、多少は「民度」のあがった国民となるはずだろうが、朝ドラの主人公浜本波美と同じで、未だに911以前のバブル全盛時代の世界観で生きているわけだから、無理だろうなあ。
by Kikidoblog | 2009-10-13 12:25 | HAARPモニター