日本人苦学生の悲劇:勉強と勤労の疲れのせいだろうか?
いやはや、これは痛ましい事故である。
過労か居眠りの可能性 米バス事故、地元警察指摘
【シーダーシティー(米ユタ州)=堀内隆】米ユタ州シーダーシティーで日本人3人が死亡した事故
で、ユタ州高速警察隊は10日、現場は見通しの良いほぼ直線道路で、急ブレーキをかけた跡がないことなどから、事故を起こした小型バスの日本人運転手(26)が過労か居眠りで前方不注意だった可能性があることを明らかにした。
また同警察隊は3人の死者のうちの1人がハヤセ・ヒロキさん(20)と発表した。死者のうち38歳男性と40歳女性については家族への連絡が済んでいないことを理由に名前を公表していない。
同警察隊報道官は朝日新聞の取材に対し、スピード違反の可能性も調べていることを明らかにした。運転手の男性は軽傷で、すでに警察の事情聴取に応じているという。同報道官は「事故原因がはっきりするには数日かかる」と語った。ツアーは日本の旅行各社が主催、運転手は地元旅行会社を通じ、委託された米国の会社のドライバー。
現場は、バスが出発したネバダ州ラスベガスとユタ州ソルトレークシティーを結ぶ州間高速道路「I—15」。制限速度は75マイル(約120キロ)。警察隊の調べによると、バスは何らかの理由で走行車線をはずれて左側の中央分離帯の草地に突っ込み、1回転半して屋根を下にした状態で止まった。死亡した3人は全員が事故の衝撃で外に投げ出され、即死だったという。
負傷した乗客・運転手12人はシーダーシティー市内の総合病院に搬送され、2人はその日のうちに退院。けがの程度が重い7人がソルトレークシティー市内の病院に搬送された。シーダーシティーの病院の広報担当者によると、同病院に残っている3人の状態は深刻ではなく、話すこともできるという。
運転を任されていたのは日本人留学生だった。勉学に励みかつ生活費の足しにと密かに闇で運転手をして働いていた。その際の事故である。
そしてとうとうその若者は逮捕された。
日本人死亡の米バス事故、運転の留学生を逮捕
【ロサンゼルス=飯田達人】米ユタ州の高速道路で今年8月、観光用ミニバスが横転し、日本人ツアー客3人が死亡した事故で、州警察は21日、運転手の日本人留学生ミクニ・ヤスシ容疑者(漢字表記不明)を逮捕した。
容疑は明らかにしていないが、州警察は、過労による居眠り運転などの疑いがあるとみて調べていた。
事故は8月9日夕、ミクニ容疑者が日本人客14人を乗せて運転していたバスが、同州シーダーシティー近郊の高速道路で中央分離帯に接触し、横転。日本人客3人が死亡、12人が負傷した。
(2010年9月22日17時22分 読売新聞)
人身事故になってしまったのだからそれは当然のことである。しかしながら、私もかつて同じ地に留学し、ほぼ同じ場所を運転したことがあるので、非常になんともいえない気持ちになる事故である。
この問題の場所となった「I-15」

というハイウェー(無料の高速道路)は、非常に長い。まあ、日本ではケンとメアリーのハイウェーなどの映像でなじみ深いかもしれない。とにかく延々とまっすぐな道である。地平線の彼方までまっすぐに見えるような道路なのである。
だから、途中で眠くなるのはかなり当たり前である。私も途中居眠りで逆走してしまったり、対向車線の対向車と正面衝突の危機に瀕したりと、今思えば、よくぞまあ生きて帰れたものだと思うこともしばしばあった。とにかく非常に田舎道をただただまっすぐ伸びているのである。今は亡き私の友人など、2度も横転事故を起こした。自家用車で数回大回転で車が大破したにもかかわらず、幸いにも2度とも無傷で帰還した。「I-15」とはそんなハイウェーである。
だからこそ、こういう事故が他人様を乗せて商売として働いている最中に起こると悲惨な事態となる。実に可哀想な事故である。自分一人ですめばよかったと本人は思っていることだろう。
ところで、私も学生ビザで入国したが、当時(も今も)学生ビザの学生は、キャンパスの外では働けない決まりだった。だから、大学内のアルバイト程度しかできず、もし外で働いているのがばれたら強制送還の憂き目に合うのであった。私も当時の友達で何人かがそうやって日本に帰らされたことを記憶している。「あいつ日本料理屋のバイトが見つかって、日本へ強制送還されたの?」という具合である。それでも、日系人や在米日本人が経営者の日本料理店や寿司屋では、日本人留学生や遊学生たちを働かせていたものである。もちろん、そういう私はきちんとユタ大学からの奨学金で十分な生活ができていたので外で働く必要はなかった。
はたして今回の事件では、その当たりはどうなのか?
奨学金がもらえない日本人学生はキャンパスの外で働く他ないだろう。そうなると、アメリカの大学の授業はけっこうきついから、かなりのハードワークとなる。過労による疲れ、勉学と勤労の両方の板挟みのために、運転ミスを誘発しかねない状態だったという可能性もある。無資格の留学生を使っても日本人観光客から儲けたいという地元の企業の問題もあるだろう。
いずれにせよ、なんともやりきれなくなる可哀想な事故である。
被害者のみなさんには、ご冥福を祈りたい。
by Kikidoblog | 2010-09-22 19:22 | マスゴミ