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謎の遺跡「ウィングメーカー」とは何か?5:天才言語学者ネルダ博士

みなさん、こんにちは。

いやー、ますます気に入った。「ウィングメーカー」の話は実に興味深い。そこで、無料公開されている他の2冊の部分もここにもメモしておこう。以下のものである。まずは2冊目から。

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http://www.voice-inc.co.jp/documents/wm/book2free.html

プロローグ ―― AD八二六年の試練

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 空をつかむようにそびえ立つ岩山に導かれ、空の旅人――トラベラーズ・オブ・スカイは夢のような霧に包まれた切り立った峡谷へと足を踏み入れた。彼女の部族の中でも、誰一人このような山の奥まで来た者はいなかった。
 彼女はチャコブサ族の出身だった。チャコブサ族の遺伝的起源はマヤにあり、その末裔は後世において北ニューメキシコのアナサジ・インディアンと呼ばれることとなる。その痩せた青銅のような肉体に刻まれた儀式のためのタトゥーは、彼女が"自己を知る者(セルフ・ノウワーズ)"のリーダーであることを示していた。
 セルフ・ノウワーズは、チャコブサ族の霊的な成長に意識を定め、死者の葬礼などの様々な儀式や瞑想の部屋であるキーヴァを生み出し、一族の起源と歴史や信仰の記録を担っていた。

 空の旅人は三十四歳だった。彼女はちょうど膝までの鹿の皮をなめした服を着ており、トルコ石のビーズがその襟口と袖を飾っていた。彼女の胸の上には、青紫のインクで描かれた彼女自身の右手がプリントされ、小さな白いビーズが散りばめられていた。それは彼女の名前である「空の旅人」にちなんだ星空を意味しているのだった。腰までまっすぐに伸びた黒髪は、兎の毛皮のヘッド・バンドで結ばれ、彼女の若々しい顔には、長老の偉大な智慧が宿る瞳が輝いていた。
 峡谷の深い影から、針のような岩山が屹立していた。それはまるで赤いインクに浸された不敵な指が、淡い青空の見えない星々を指し示しているかのようだった。その峡谷へ彼女は慎重に降りていった。それは前日から彼女の注意を引きつけていたのだ。

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 砂岩の赤い塔へ彼女が向かっているとき、一条の閃光が彼女を驚かせた。太陽はちょうど峡谷の尾根の頂点にあり、その光がわずか二十フィートほど離れた何かに反射して、彼女の注意を促したのだった。彼女は突然、自分が侵入者であるかのように感じた。身体は凍りつき、瞳はその輝く物体へと釘付けになった。人間の頭と同じくらいの大きさのものが、まるで忠実なガーディアンのように立った二本のこぶだらけのピニオンの木の間の松葉の中に半分埋まっていたのだ。
 最初、彼女は銀色の石だと思った。しかし近づくと、異様な模様が全体を覆っていることに気づいた。それは痩せた蛇のように物体の表面を覆い、熊の爪痕であるかのように刻まれていた。かがんで上から見ると、彼女がこれまで見たことがないような金と銀の色をしていた。彼女は光沢のある表面をまじまじと見つめた。実に不思議な物だ。彼女は、この物体が自然のものでも自分の一族のものでもないことを確信した。
 彼女はその異様な色に興味を惹かれ、魅了された。そして、それにどのように接すればよいのか、また、接するべきか否かを判断すべく、数分間その物体を見つめていた。もしもこれが超自然のものであるならば、部族の人々のため、正体を見極めることが彼女の仕事であった。仮にそれが脅威であった場合、責任を持って自分たちの土地から放逐しなければならない。先祖代々の土地を預かるシャーマンとして、過度なまでの好奇心は彼女の義務であった。
空の旅人は、清めるようにその手を物体の上にかざした。彼女の薄い唇はチャコブサ族のいにしえの詩を暗唱した。
「大いなる神秘の中、汝を我は知る。汝のもと、我は光栄に浴する」
 彼女の手は振動し、身体は電流の津波が流れ込んでいるかのように震え始めた。手はぐっと物体へと引き寄せられ、それが強力な磁石であるがごとく、その物体を無意識に握り締めていた。彼女の指は抑えがたい衝動の内に物体を握り締め、赤ん坊のようにそれを胸の中へと抱き寄せた。物体を抱きながら、彼女の全身は抑えることのできない振動に包まれていた。

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 彼女が知っていたすべて、経験から得たものすべてが浄化された。彼女の心は袋から解き放たれた蝶のように"空(くう)"となり、完全に過去と未来から自由になったことを感じていた。ただ、そこには「今」という巨大な瞬間があるだけだ。彼女はその物体を胸に当てたまま、自分が何をしているのかを完全に忘我し、数分が過ぎていった。

 しばらくすると、自分の手に持っている物の重さが戻ってきた。それは重く、小ぶりな形にもかかわらず、幼な子ぐらいの重さがあった。
 やっとの思いで、彼女はそれを地面の上に置いた。置かれた物体はほとんど分からないくらいかすかに振動し始めた。物体の輪郭線は、振動でぼやけ始め、空の旅人は見ているものが信じられずに目をこすった。彼女の顔には混乱と怖れの兆しが入り混じっていたが、動くことはできなかった。それからすべてが夢のようになり、彼女は霞の中へと吸い込まれていくのを感じた。先祖の大いなる神秘の中へと。
 峡谷の光は揺らめいて、催眠に落ちた踊り子の明確なリズムの中で脈打っていた。彼女の前には、奇妙な風貌であるが、均整の取れた顔立ちの三人の長身の男たちが立っていた。彼らの瞳は穏やかで、青や緑やバイオレットにその色を変化させながら輝き、真っ白な"顎鬚(あごひげ)"が胸に垂れていた。男たちは奇妙に透き通ったエメラルド色のローブをまとい、彼女の前に荘厳な樹木のように立っていた。彼女は全く怖れを感じなかった。取るべき行為はひとつしかないことを知っていたからだ。それは降伏だった。
 中央に立っていた人物が彼女に語りかけた。
「我々は今あなたが思っているように、あなたの過去であるだけではない。あなたの未来でもある」 彼女は理解したことを示すためうなずこうとしたが、肉体はここにはなく、急速に忘れ去られてゆく別の世界にあった。
 彼の言葉が聞こえたように感じたのだが、彼女は彼の唇が動いていなかったことに気づいていた。
 彼は彼女の心に直接語りかけていたのだ。そして、彼はよそ者が知る"術(すべ)"もない、完璧なチャコブサ語を話していた。

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「あなたは選ばれた。時は来たれり。炎の輝きから瞳を上げ、自らの影を創り出す時が来たのだ。あなたはこの世界への我々の使者である。あなたは空の旅人であり、我々はあなたの翼を創る者である。我々は伝えられてきたものをあなたと共に問い直し、真実となったものを鍛え直す。我々は常に、これまで我々であったもの、これから我々であるものを守ってゆくのだ」

 彼女は見守るだけだった。彼ら翼を創る者たちへの尊敬の念が、安らかに彼女の心を満たしていた。
 彼女の目の前の生き物は、その存在だけで彼女を引きつけた。彼女の敬意は、無限の秘密の貯水池の堰が切れたごとく流れ出していた。
「他のものより、より神聖なものはない」
 その存在は言った。
「ファースト・ソース、偉大な神秘への道はない。すべての存在は、今まさにこの瞬間、ファースト・ソースと共にある!」
はるか彼方のどこからか、彼女の意思が問い返すのを感じた。
「あなたは誰?」
彼女の心の中で、フレーズが形作られた。
「私は光の種族から来た。あなたと同じように。肉体だけが我々の違いだ。それ以外のすべては、永遠の透明な光の中に存在している。あなたは自分が何者であり、なぜここにいるのかを忘れてこの惑星に来た。今、あなたはそれを思い出す。あなたは自らの同意のもとに、これから我々を助けてゆくだろう。あなたは今、自分が存在する理由に目覚めるのだ」
 彼女の頭上で千対の姿なき翼が羽ばたくような音がして光の螺旋が空から降りてきた。その光の中に、彼女があの物体に見たものと似た形体が、捻れ、融合し、分裂していた。知性を持った線、"光の言語(ランゲージ・オブ・ライト)"である。
 光はゆっくりと彼女の中へと入っていった。彼女はエネルギーが高まってゆくのを感じた。その波動は微妙ではあるが深く、彼女は彫刻家のたがねのように肉体という鞘から抜け出るのを感じた。苦しみはなかった。克服すべき障害はなかった。そして、彼女はそれを見た。

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 イメージの"不協和音(ざわめき)"が彼女の中で解き放たれ、彼女の未来が表れた。彼女は彼らの内の一人——その物体の創造者——だった。彼女はチャコブサ族ではなく、それは彼女が被っていた仮面に過ぎなかった。彼女は、本当は星からやってきた者だった。その光が全く地球に届くことのない、はるか彼方の場所から来たのだ。
 意識が戻ったとき、そのヴィジョンは急速に消えていった。あたかも未来のイメージが彼女の"精神(マインド)"の網をすり抜けてしまったかのように。自分が守護者であると知って、彼女はその物体を拾い上げ、優しく撫でた。まだ発見される準備ができていない何かに、この物体が導いてくれることを彼女は知っていた。そして、その時がやがて来ることも。彼女が別の仮面——赤い髪と奇妙な白い肌の女性という仮面——を身につける時のことを。それが過ぎ去った最後のイメージだった。

イントロダクション

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 一九四〇年、数機の墜落UFOが無傷のまま回収された。その事態を受け、地球外の宇宙船のテクノロジーの入手と保護、分析を行うため、トップ・シークレットであるガバメント・サービス・スペシャル・プロジェクト・ラボラトリー(政府特別プロジェクト研究所)の内部に、新たな組織を設立するための政府特別予算が認可された。その組織は、アメリカ政府のすべての研究所の中で、最も秘密の存在であるといういかがわしい名誉が与えられていた。
 カリフォルニアのパームスプリングス近隣の高地砂漠に位置し、強固な城砦と化したその秘密の施設には、事前の保全許可認定審査(セキュリティ・クリアランス)を受けた政府の研究所の一流の科学者たちが収容されていた。
「ET緊急事態(インペラクティブ)」と一九五〇年代に呼ばれたものは、アメリカ政府、ひいては惑星全体の安全保障に関わる重大な問題であると見なされた。ACIOは回収されたエイリアンのテクノロジーを分析し、それがどのような物であれ、戦争と諜報活動を支配するために、ミサイル技術や誘導システム、レーダー、戦闘機、偵察、コミュニケーション・システムに応用しているのではないかとの嫌疑が向けられていた。

 一九五〇年代半ばには、数機の地球外の宇宙船が、内部にエイリアンが生きている状態で回収された。この重大事件は、アメリカ合衆国だけではなく、ソビエト連邦や南アフリカでも起こっていた。ボリビアでのそのような事件の一つにおいて、才知溢れる電子工学の専門家であったパウロ・ネルダは、墜落したUFOからあるナビゲーション装置を取り外した。そしてその装置をACIOへ返すこと、および自分の才能を持って奉仕することを交換条件に、ACIOへの加入交渉に成功したのである。

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 パウロ・ネルダと、彼の四歳の息子であるジャミッソンは一九五五年にアメリカ合衆国市民になった。息子のジャミッソンは、父の死の直後、ACIOに加入し、言語学と暗号化技術、そして暗号解読のテクノロジーの第一人者となった。
 若きネルダは言語の天才であった。コンピュータであろうが、エイリアンであろうが、人間であろうが、相手は問題ではない。彼の才能は、宇宙人たちとの交流において、ACIOに不可欠なものと見なされていた。
 一九五〇年代における生きたエイリアンの回収は、ACIOに新たなアジェンダを生み出した。テクノロジー・トランスファー・プログラム(TTP:技術転送プログラム)は、ゼータ・レチクルとコルテウムという二つの別個の宇宙人から生じたものである。そのET種族の選り抜きのテクノロジーが、様々なサービスとの交換条件のもとにACIOに提供され、その恩恵はアメリカ政府や他国の政府によって普及されていった。
 ACIOは、ゼータとコルテウムと共に開発したTTPから生まれたテクノロジーの倉庫であり、情報処理センターだった。ACIOのアジェンダは、そういったテクノロジーを非軍事用の有用なテクノロジーに転換する方向に拡大され、民間と公共の両方のセクターで展開された。集積回路やレーザーのような、その時代以前にはなかったテクノロジーは、ゼータ、コルテウムとACIOのTTPの結果の一部であった。

なるほど、なるほど、例の天才言語学者とは、ジャミッソン・ネルダという博士だったわけか。このネルダ博士が、シュメール語を基にして24のチャンバーの絵と対応させ、謎の光ディスクのアクセスキーを解き明かしたというわけですナ。天才、恐るべし。

ぜひこの続きを読んでみたいものである。アマゾンでつい買ってしまったヨ。

(つづく)

  by kikidoblog | 2011-09-26 12:10 | ウィングメーカー

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