さようなら、金星ヴィーナスよ!:金星の太陽表面通過、次は105年後!
今日6月6日は、金星が太陽表面を通過する天体ショーの日である。朝から昼過ぎまでそのチャンスがある。
金星の「ほくろ」、西日本で観察…今世紀最後
太陽の手前を金星が横切る珍しい金星の太陽面通過が、6日午前7時すぎから始まった。
関東地方は雨がちだったが、晴れ間が広がった西日本などの各地で観察できた。この現象が見られるのは、世界でもこれが今世紀最後。次は105年半後の2117年12月11日となる。
金星の太陽面通過は、太陽と金星と地球がこの順で一直線に並んだときに起こる。太陽を横切る際の金星の軌道はほぼ直線状だが、地球が自転しているため、地球から見ると、「ほくろ」のような金星が太陽の表面を弧を描くように動く。
見え方は全国的にほぼ同じ。金星は午前7時10分ごろ、左側から太陽面に入り、太陽の上縁に近づいた後に下降して、約6時間半後の午後1時47分ごろ太陽の右下から抜ける。04年6月に起きた前回は途中で日没となったが、今回は最初から終わりまで観察できる。
(2012年6月6日12時25分 読売新聞)
さて、そこで早速、私も自分の携帯電話のカメラで撮影できないかとサングラスフィルターを1枚貼付けて挑戦してみたのである。すると、早速、私のカメラにも「惑星ニビル」が写ったのである。

まあ、種を明かせば、最近ディジタルカメラ時代になって、こういった太陽の周辺に淡い太陽のような映像がたくさん撮られるようになったが、こういったものは、フィルターとレンズの間の多重散乱によってできる、イルージョンである。実在のものではない。その証拠に、フィルターの微妙な角度や位置の変化に応じて、その幻影もまた微妙に位置を変えるからである。
(今度は右に出た。)

これではまだ太陽表面の黒点や金星は明るすぎてみることができないため、サングラスフィルターを2枚にして同じことをすると、見事に太陽を捕らえる事に成功した。がしかし、私の携帯カメラの分解能では、太陽表面を通過する金星を観ることが出来なかった。

そこで、作戦を変えて、1970年製の五藤光学の望遠鏡を使って、天体観測の定石通りの手法を使って金星を観ることにした。ここから2時間ほど掛けて、一旦全部ばらばらにして保管していたものを再構成したというわけである。

この名機は、私が中学1年生の頃、火星の大接近があり、それを見るために「五藤光学研究所製の8cm天体望遠鏡」を買ったのであった。1971年当時、この五藤光学研究所製の8cm天体望遠鏡は、天体観測の趣味を持つ人たちの間では知る人ぞ知る名機であり、当時のアマチュア天体観測者のあこがれだったという、最新鋭機であった。私は、何とかこれを小遣いを貯め、父親にも協力してもらって買ったのであった。もうちょうど40年前のことである。
それから私の子供少年時代を終え、私が使う機会を失ったのだが、その頃、私の父の知人の息子が天体に興味があると聞き、それならと一旦はその子にあげたのだった。ところが、私が大人となってユタ留学から帰国した際に、この望遠鏡はどうなったかと聞いたところ、その知人の息子もすでに大人になり、もはや天体に対する興味を失って卒業し、その望遠鏡はすでにがらくた入りしたということであった。それならといって、再び私が戻してもらい、メンテナンスをして、その後、ここ徳島に再び取り戻したのである。
それから、我が家の2階のテラスに雨ざらしして置いて何年も経ってしまったために、金属部分はことごとくさび、色も落ちも激しく、木製部分もかなり朽ちて危なくなってきたが、最近までメンテナンスのために、今日まで私の部屋にバラバラにして置いてあったという、曰く付きの名機なのである。
しかしながら、いかにこの五藤光学の天体望遠鏡がすばらしいかと言えば、苦節40年経ったにも関わらず、レンズ系統はほとんど調整する必要がなかったこと、いまだに焦点はきちんと取れるのである。しかも、レンズの汚れもほとんどないままなのである。これぞ、「昔の日本製は素晴らしかった」という証拠である。昨今の数年ですぐに壊れるように作られた日本製とは一味も二味も違うのである。
さて、この8cm五藤光学製の天体望遠鏡で、白いスクリーンと黒い日よけを設置し、レンズの前にも直径5cmの穴のあいた日よけをして、太陽光を減らし、白いスクリーンの上に白い紙を敷き、黒いシャドーマスクに段ボールでさらに日よけをして紙を全部影で覆われるようにすると、

何と我が家の天体望遠鏡でも見事な金星の姿が浮かび上がったというわけである。

こうして、時々時間をおいて撮影したのである。

おそらくベストショットはこれ。

そして、いよいよ金星が周辺部にやってきた。

さようなら、金星ヴィーナスよ! また会おう、と言いたいところだが、もうこうして会えるときは二度とないだろうナア。次は105年後というわけだから。まあ、この次も見られるように、長生きできる科学知識を発見したいものですナ。
by Kikidoblog | 2012-06-06 14:18 | アイデア・雑多