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サッカー五輪代表の運命を分けたもの?:女子には澤選手がいたが、男子にはいなかった!

みなさん、こんにちは。

昨夜のなでしこジャパンvsフランス戦、今朝の五輪男子代表vsメキシコ戦を見たが、なでしこジャパンは2-1で逃げ切り、男子は 1-3で敗退。韓国との3位争いという最悪のシナリオに陥った。

決戦になると、やはり監督の差が出たようである。なでしこジャパンの佐々木監督は、3人の交代が功を奏した。一方、関塚監督は3人の交代が裏目に出た。経験値の差というのか、あるいは、人間の質的差というものが出たようにみえるから面白い。

なでしこジャパンの場合、ロンドン五輪直前の国際Aマッチの親善試合で、久しぶりに澤選手が戻って来た。それまでは澤抜きで戦い良いところはなかった。それがロンドン五輪の本戦に入り、徐々にドイツW杯の時の状態に戻りつつある。メンバーもほとんど固定され、昔の北京五輪の時のメンバーの状態に近づいた。だから、苦戦も簡単に負けることなく、怒濤の攻撃を守り切ることができたのである。
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一方、男子の場合は、苦戦すると、かならずロンドン五輪直前の国際Aマッチの親善試合の時の状態に戻ってしまう。予選リーグ、エジプト戦は、たまたま永井の俊足が生きて得点できたにすぎず、サッカーの質そのものは、相変わらずであった。それが今回メキシコ戦で全部出たのである。
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このチームはシュート力がないのが最大の特徴であり、それをどこまで修正できるかが鍵であった。そのために、わざわざ鹿島の大迫選手を落選させて、東京ヴェルディの杉本選手を入れたのである。しかしながら、杉本選手は結局スーパーサブ的な使用だけで、親善試合の時のような活躍はできずに終わった。これでは、何のために大迫選手(大津選手は大迫選手の控えにすぎなかった)を落選させたのかまったく理解できない結果に終わったのである。もちろん、齊藤選手や山口選手、鈴木選手や酒井宏樹選手などは、シュートがゴール枠に行くことがない。ことごとくチャンスをボールをふかして終わりなのである。これがことごとくメキシコ戦で出た。

オーバーエイジ枠で入ったディフェンダーの徳永選手と吉田麻也選手はかなり機能していたが、最後の最後のメキシコ戦では、この2人のサイドから2失点。特に、コーナーキックから徳永選手のマークの仕方が悪くて失点したのである。3点目は吉田のサイドを突破されてゴールされてしまった。

まあ、前置きが非常に長くなってしまったが、私がメモしたいことは、そういうことではない。今回の男子と女子のチームは非常に良く似ているという珍しい点である。ポジションごとに対応する選手がいるのである。顔つきも、体つきも、プレースタイルも、役割も非常に似ていて、性別だけが違うというような選手が数多くいるのである。本当にこういうことは珍しい。

そこで、これについてメモしておこう。

まず、女子代表は、以下のようなメンバーである。
第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)
日本女子代表(なでしこジャパン)登録メンバー


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なでしこジャパン公式サイト

【スタッフ】
監督佐々木 則夫【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
コーチ望月 聡【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ/びわこ成蹊スポーツ大学】
GKコーチ前田 信弘【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
フィジカルコーチ広瀬 統一【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ/早稲田大学】
【選  手】
氏名生年月日身長体重所属
GK
1福元 美穂1983.10.02165cm66kg岡山湯郷Belle
18海堀あゆみ1986.09.04170cm64kgINAC神戸レオネッサ
DF
2近賀ゆかり1984.05.02161cm53kgINAC神戸レオネッサ
12矢野 喬子1984.06.03164cm55kg浦和レッズレディース
3岩清水 梓1986.10.14162cm54kg日テレ・ベレーザ
5鮫島  彩1987.06.16162cm53kgベガルタ仙台レディース
4熊谷 紗希1990.10.17171cm59kgFFCフランクフルト(ドイツ)
MF
10澤  穂希1978.09.06165cm55kgINAC神戸レオネッサ
8宮間 あや1985.01.28157cm52kg岡山湯郷Belle
9川澄奈穂美1985.09.23157cm49kgINAC神戸レオネッサ
6阪口 夢穂1987.10.15165cm58kg日テレ・ベレーザ
14田中明日菜1988.04.23164cm52kgINAC神戸レオネッサ
FW
7安藤  梢1982.07.09164cm57kgFCR2001デュイスブルク(ドイツ)
13丸山桂里奈1983.03.26163cm55kgスペランツァFC大阪高槻
11大野  忍1984.01.23154cm50kgINAC神戸レオネッサ
17大儀見(永里)優季1987.07.15168cm60kg1.FFCトリビューネ・ポツダム(ドイツ)
15高瀬 愛実1990.11.10164cm60kgINAC神戸レオネッサ
16岩渕 真奈1993.03.18155cm52kg日テレ・ベレーザ
バックアップ
 山根恵里奈1990.12.20187cm78kgジェフユナイテッド市原・千葉レディース
 有吉 佐織1987.11.01159cm52kg日テレ・ベレーザ
 上尾野辺めぐみ1986.03.15157cm52kgアルビレックス新潟レディース
 大滝 麻未1989.07.28172cm59kgオリンピック・リヨン(フランス)

一方、男子は以下のメンバーである。
第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)
U-23日本代表 登録メンバー


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【スタッフ】
監督関塚  隆【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
コーチ小倉  勉【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
アシスタントコーチ武藤  覚【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
GKコーチ藤原 寿徳【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
フィジカルコーチ里内  猛【(財)日本サッカー協会ナショナルコーチングスタッフ】
【選  手】
氏名生年月日身長体重所属
GK
1権田 修一1989.03.03187cm83kgFC東京
18安藤 駿介1990.08.10185cm79kg川崎フロンターレ
DF
2徳永 悠平1983.09.25180cm76kgFC東京※
5吉田 麻也1988.08.24189cm81kgVVV(オランダ)※
8山村 和也1989.12.02184cm75kg鹿島アントラーズ
13鈴木 大輔1990.01.29181cm78kgアルビレックス新潟
4酒井 宏樹1990.04.12183cm70kgハノーファー96(ドイツ)
12酒井 高徳1991.03.14176cm74kgシュツットガルト(ドイツ)
MF
17清武 弘嗣1989.11.12172cm66kgニュルンベルク(ドイツ)
6村松 大輔1989.10.29177cm76kg清水エスパルス
10東  慶悟1990.07.20178cm69kg大宮アルディージャ
16山口  螢1990.10.06173cm72kgセレッソ大阪
3扇原 貴宏1991.10.05183cm72kgセレッソ大阪
14宇佐美貴史1992.05.06178cm69kgホッフェンハイム(ドイツ)
FW
11永井 謙佑1989.03.05177cm74kg名古屋グランパス
7大津 祐樹1990.03.24180cm73kgメンヘングラッドバッハ(ドイツ)
15齋藤  学1990.04.04169cm64kg横浜F・マリノス
9杉本 健勇1992.11.18187cm79kg東京ヴェルディ
バックアップ
 林  彰洋1987.05.07195cm89kg清水エスパルス※
 大岩 一貴1989.08.17182cm77kgジェフユナイテッド千葉
 米本 拓司1990.12.03177cm70kgFC東京
 山崎 亮平1989.03.14171cm66kgジュビロ磐田
※徳永、吉田、林がオーバーエージ枠


まず、一番似ているのが、男子の永井選手と女子の永里(大儀見)選手である。

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この2人はプレースタイルから顔から何から何まで瓜二つである。

次に似ているのが、控え組のエース。ともにユース時代天才の名を欲しいままにした、男子の宇佐見選手と女子の岩渕選手である。

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顔はまったく違うが、この2人が置かれた立場、プレースタイル、監督の戦術に反感を持ち、監督の戦術観と合わず、監督にも何となく嫌われている点など瓜二つである。試合中も徹底してパス出さずにドリブルからのシュートを狙うところもまったくいっしょである。私は嫌いではないが、今の監督には合わないようである。

次に似ているのが、中盤の選手の女子の坂口選手と男子の扇原選手である。

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中盤でのちんたらしたプレー、今回の試合での果たしたミス、非常に似ているのである。チームの「厄病神」というやつである。坂口選手がミスして突破されて1失点。そして痛恨のPK。幸い相手がかっかしていて外してくれて助かったが、試合展開は男子とまったく同じだった。男子の扇原選手もちんたらプレーで、のろのろとターンするところを狙われて一気に逆転弾を食らったのである。

日本でボランチというとたいてい坂口選手や扇原選手のようなプレースタイルが多い。スピードはないが、まめに動き回る。得点力も目立ったプレーもないが、たまに良いシュートも決める。そんな選手がこのポジションにつくことが一般的である。逆に言えば、だから負ける。

次に似ているのが、女子の宮間選手と男子の清武選手である。

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元気なうちは比較的細かく繋ぐが、疲れて来るとすぐにロングパスに頼る。ともにフリーキックの名手だが、ショート力はいまいち。非常に良く似ている。

あげればきりがないが、他にも、
女子の川澄選手と男子の大津選手。

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このちゃらちゃら感がそっくり。かっこいいプレーをしたいという欲求が強すぎるところや、自分のスピードに頼りすぎるところなどよく似ている。

女子の安藤選手と男子の東選手。

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顔の印象からしてそっくりである。両者ともに非常に体力がありよく走り回るのだが、肝心のシュートの決定期にいつも空振りやダブリやトラップミスをする。大事な時にヘマをする。この感じがそっくりである。

さらに、
女子の岩清水選手と男子の吉田選手。

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いつも冷静沈着で良い仕事をしているが、読みに頼り過ぎ、時にその読みが裏目に出て失点する。この感じが非常に似ている。顔つき体つきも似ている。

私がこれまで観て来た中では、もっとも対応する選手の多いチーム同士である。

最後に女子にはいて、男子にはいないタイプ。それが澤選手

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である。このバロンドール受賞の偉大な選手の存在の有無が、結局ベスト4を突破できるかどうかの差であったといえるだろう。

相手の攻撃を読み、的確に相手の攻撃の芽を摘み取って行く。そして相手チームのエースに絡み、ことごとく自由にプレーさせない。これが澤選手の最大の特徴である。

男子チームには澤選手のタイプはいない。これは、必ずしも日本国内の選手に澤タイプの男子選手がいないということを意味するのではない。そういうタイプは結構地味であるために、日本の男子のメンタリティーに合わないため、あまり代表に昇格しないということである。仮に澤選手が男子であったとしても、おそらく今の日本代表には呼ばれないに違いない。

これが、かつてブラジル闘将ドゥンガ選手が言った「日本人特有のメンタリティー」というものなのである。日本の男子には、「自己中」の選手ばかりで、自分の好みや願望よりは、徹底的にサッカーの原理原則通りにプレーするという、澤選手のようなスタイルの選手は少ないのである。

例えば、清武選手にしても、最近のJユースチームならどこでも見るように、あるいは、高校生チームでもそうだが、後ろのポジションが必死でオーバーラップして来た時に、それをダミー(おとり)にして使わない。清武選手は、酒井選手のオーバーラップにほとんどパスを出さなかった。要するに自己中心的なのである。サッカーの原理原則より、自分の趣向でプレーを決めてしまうのだ。

「後ろの選手がオーバーラップしてきたら必ず使え」というのは我々が中学生時代の鉄則であった。なぜなら、もし使わずにミスすれば、オーバーラップして来た選手のポジションの穴を相手に使われるからである。ディフェンスに穴を開けてまでしてわざわざ攻撃参加して来たわけだから、「自分が中に行くふりをして必ずそこへパスを出す」べきなのである。

こういうものが、「日本人特有のメンタリティー」と呼ばれるものの1つだが、男子五輪代表はそういう連中ばかりであったが、女子には徹底してサッカーの基本や原理原則に忠実にプレーできる澤選手がいた。この差が実に大きかった、ということである。


おまけ:
サムライサッカーを目指せ

  by KiKidoblog | 2012-08-08 15:19 | サッカー&スポーツ

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