サッカーはカオスだ!:PKの鵬翔、京都橘散る!「だれも仙頭選手を責めることはできない!」
きのうの高校サッカー決勝戦は非常に良い試合だった。以下のものである。
京都橘の得点王仙頭PK×/高校サッカーそれにしても、鵬翔はすごいナ。宮崎予選決勝からPK戦勝ち。本戦のトーナメントでも決勝も含めて数試合をPK戦勝ち。「PKの鵬翔」である。
京都橘は2度のリードを守れず、京都勢3度目の優勝はならなかった。
創部12年目での全国制覇はならなかった。110分の死闘を終えて迎えたPK戦。相手5人目のシュートが決まると1人目でPKを失敗した京都橘FW仙頭啓矢(3年)は地面に倒れ込んだ。「ここまで支えてくれた皆さんに、優勝して恩返しがしたかった」。涙が止まらなかった。
1-1で迎えた後半19分に仙頭がFW小屋松知哉(2年)とのコンビで勝ち越し弾を決めたが、同39分に鵬翔にPKを献上した。鵬翔の13本を上回る21本のシュート。さらに、仙頭、小屋松が通算5得点でダブル得点王に輝いたが、笑顔で大会を締めくくることはできなかった。
元女子高で、わずか部員12人からのスタート。故障者が出ると、練習試合では米沢監督自らプレー。ユースホステルを泊まり歩いた遠征では強豪校に30失点以上したこともあった。学校のグラウンドも狭く、日々の練習にも困る環境。それでも米沢監督が学んだオランダサッカーを軸に、全国の頂点を目指し続けた。
優勝は逃したが、米沢監督は「立ち上げ当時はここまで来られるとは思わなかった。すてきな選手に恵まれて監督冥利(みょうり)に尽きる」。登録25人中12人が1、2年生。2年生の小屋松は「得点王よりも負けたことが悔しい。来年こそ優勝します」とリベンジを誓った。【福岡吉央】
優秀選手は以下のとおり。
全国高校サッカー、優秀選手34人選ばれる
全国高体連サッカー部技術委員会は19日、第91回全国高校選手権の優秀選手34人を発表し、鵬翔と京都橘から6人ずつが選ばれた。
このメンバーを中心に、今後の選考合宿を経て20人程度の選抜チームを編成。2月23日に国立競技場で「U―18(18歳以下)Jリーグ選抜」と対戦するほか、3月下旬からドイツ遠征を行う。
▽GK 置田竣也(星稜)永井建成(京都橘)小川司(大津)浅田卓人(鵬翔)
▽DF 山田将之、室屋成(以上青森山田)諸石健太(桐光学園)甲斐健太郎、高橋壮也(以上立正大淞南)河面旺成、米原祐(以上作陽)原田駿哉、矢野大樹(以上鵬翔)橋本夏樹(京都橘)
▽MF 松井修平、橋本裕貴(以上桐光学園)植田裕史、井田遼平(以上星稜)釈康二、宮吉悠太(以上京都橘)万雄大、安井修平(以上東海大仰星)平岡翼(作陽)小塚和季(帝京長岡)東聖二、小原裕哉(以上鵬翔)望月嶺臣(野洲)
▽FW 野路貴之(桐光学園)浅野拓磨、田村翔太(以上四日市中央工)仙頭啓矢、小屋松知哉(以上京都橘)田路大樹(立正大淞南)北村知也(鵬翔)
勝負は時の運。高校サッカーの場合は、あまり勝敗にこだわるべきではない。それより、今後もサッカーをどんな形であれ継続して行ってもらいたい。「継続は力なり」である。
プロサッカー選手でも引退するととたんにサッカーはおろか運動をしなくなるものがほとんどである。同様に、科学者の場合も大半は大学職員を引退するととたんに研究をやめてしまう。私はこれでは困ると思う。
なぜこうなるかといえば、それは、そういう人はサッカーであれ科学であれ、「職業として」やっていたからということになるだろう。飯のタネにしていただけなのである。本当に好きでやっていたわけでも、使命感でやっていたわけでもなかったということになるだろう。
身体の健康維持のためでもサッカーを続けたり、頭の体操のためであったとしても研究を続けたり、訓練や学びを続けるべきである。
さて、この決勝でも実に興味深いことが起こった。それは、その試合で大活躍したエース、この試合で最初に得点した得点王の仙頭選手が最終的にPK戦ではずし、優勝を逃してしまったのである。
実はこういうことは実に良く起こるのである。
ここ徳島予選の準決勝でも徳島市立対徳島商業戦で同じようなことが起こった。後半ロスタイムまで市立が1-0でリード、勝利目前でまさかの同点。延長も勝負がつかず、PK戦となった。最後に1点を最初に取った市立のエース武田選手がPKを外し、勝負あり。
1994年のワールドカップアメリカ大会の決勝でも同じことが起こった。ブラジルとイタリアの決勝戦はPK戦にもつれ込んだ。そして、最後にイタリアのバッジョ選手がはずし、ブラジルのドゥンガが決めてブラジルの20年振りの王国復活を成し遂げた。
この後のドゥンガの
「だれもバッジオを責めることは出来ない」という名言を残したのである。
実はあまり知れられていないが、これが
サッカーはカオスである。ということなのである。(A Happy New Messi: メッシ4年連続バロンドール!【最も幸福な人とは最も多くの人に幸福をもたらす人】)
どういうことか?
この高校サッカーの決勝の試合直前に、監督が選手たちにどういう声をかけるか?どういう言葉をかけたか?が、実は試合を決めてしまう。こういうことが起こる。このことを言っている。
監督が試合直前に突然癇癪を起こし、選手を怒る。あるいは、ある選手に「お前が得点王になれ」とか、「お前がMVPになれ」とか声をかける。一見たわいない激励であったり、監督から見れば、当たり前の檄を飛ばす。
実はこれが選手やチームを時にがらっと変えたり、試合中に徐々に焦りやいらだちを生み出したりするのである。
つまり、
南米の蝶が翅を一振りすると、北米アメリカでハリケーンが起こる。というような現象が、サッカーでも起こるのである。
私もこれは現実に何度も目撃して来た。我が息子のチームが本来なら楽勝できるチーム、いつも勝っていた相手に試合を行っていた。前半リードしてほぼ楽勝ムードのハーフタイムに、監督が「明日はクリスマスイブだから、良いプレゼントにしよう」とごく当たり前の言葉を言ったかに見えた。ところが後半になると、まったく別チームになってしまったのである。動きが悪くなり、すべてが後手後手に回り、結局まさかの敗けを喫したのであった。
なぜこうなったか?
これは監督が言った「クリスマスプレゼント」という言葉にあった。後で選手たちに聞いたところ、クリスマスのことが頭によぎった。彼女のことが頭をよぎった、というようなことを言ったのである。つまり、監督が直接試合とは無関係の明日のことを言ったばかりに、選手たちは今目前の試合に集中できなくなったのである。言い換えれば、ハーフタイムの監督の言葉で選手たちはもう試合は勝ったと錯覚してしまったということなのである。
実はこうしたことが必ず試合では起こるのである。
京都橘の監督は試合直前に仙頭選手に「今日はお前だけが1人得点王になれ」といったという。試合前まで京都橘には2人の得点王候補がいた。仙頭選手と小屋松選手である。だから、監督は仙頭選手の何か(おそらく進路)を考えて、お前だけが1人得点王になって優勝しろと言ったのである。試合を見た限り、これがこの試合を決めてしまったのである。
私の見たところでは、仙頭選手の良さはトップより中盤の選手としてのパスの精度にある。しかしトップに入り、時々下がった場所から仲間を使う。これが相手に脅威を与えて来たのである。いったんサイドにボールを散らし、いつの間にか守備の背後に突然姿を現す。昔のウィングプレーである。これが仙頭選手の特徴であった。
ところが、この監督の試合前の言葉のせいで、仙頭選手は前線に残って得点を狙う。あるいは、ミドルシュートで得点を狙うことにこだわりすぎた。その結果、本来ならもっと楽に得点できたはずが、かなり強引になったのである。仙頭選手は強引なプレーでは持ち味が出ない。結局試合はドロー。PK戦になった。そして第一番手の仙頭選手が外し、相手5人が全員決めて勝負有り。
サッカーとはこういうものなのだ。分かってもらえただろうか?
サッカーはカオスである。(混沌という意味のカオスではない。非線形現象のカオスという意味である。)
だれも仙頭選手を責めることはできない!
おまけ:
きのうのこの試合に関して、私は2つの疑問がある。
(1)なぜサッカー協会はセンター試験のある1月19日に決勝を合わせたのか?
これでは、この両チームの選手と両校の3年生はセンター試験と決勝戦の板挟みになったはずだが、いったいサッカー協会はこの問題をどう考えていたのだろうか? センター試験を受けなければ、多くの大学でサッカー推薦を受けられない。そういう問題がある。その意味で、あまりにアンフェアな日程であった。おそらく、放送局の都合にあわせたのだろうが、大変な大問題だと思う。文科省も何も言わないのは実におかしな話であるナ。
(2)なぜ放送局はリアルタイムで放映せず、録画放送をしたのか?
これまた実に変な話である。これまで決勝戦が録画放送なんていうのは聞いた試しがない。そのせいだろうが、やたらとコマーシャルが間に入り、サッカーの邪魔をした。特にジャニーズ系の醜い顔ばかりが出て来て閉口させられた。ジャニーズのカマ野郎などテレビに出すなヨ。これまた放送局の説明責任があるだろう。悪名高い日テレのようである。
http://www.ntv.co.jp/soc/
高校生を食い物にするテレビ局というわけですナ。世も末である。
by Kikidoblog | 2013-01-20 13:09 | サッカー&スポーツ