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ファミリービジネス6:「貴石画」と「宝石画」の誕生

みなさん、こんにちは。

今日も昨日のつづきである。山梨県甲府市の宝石研磨業や宝石貴金属店の話である。だから、他の県の人たちにはあまり価値のある話ではないだろう。適当にパスして欲しい。


(つづき)


(か)貴石画と宝石画の誕生

原石を切り刻み、欲しい部分を抜き取ると、その周辺や端っこに大小様々なさざれ石ができる。切った残りカスのようなものだから、尖っていて、危ないものである。窓ガラスを切った後に残るはし切れを思い出せばいいだろう。

インターネット上にはすでに磨かれたものしかないが、雰囲気としてはこんなもの。
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そういうものが無数に誕生するのである。我が家もそういうさざれ石を庭先に捨てていた。

だから、我々当時の子どもたちが庭先でサンダルで遊んだりしていると、たまにそういうさざれ石でざっくりと足裏を切ったものである。それほど鋭利な切れ端だったのである。なにぜ水晶のさざれ石である。

しかしながら、「バレル研磨機」の登場により一気にさざれ石を磨くことができるようになった。そうなると、これまで石のゴミにすぎなかったさざれ石が、今度は売り物になってくる。財産や資源に変わったのである。

今では、インターネット上でパワーストーンだとか、さざれ石だとかいって売り物になっているようだが、そういうものはみなこの「バレル研磨」されたものである。たとえば、こんなものである。
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我が家にもこういうものが無数にそれも自由自在に作れるようになった。それが、私が小学生の時代の1960年代中頃から後半であった。

そうなると、大中小さまざまの大きさのさざれ石、カラフルなさざれ石ができるようになった。たとえば、こんな感じのもの。
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(これらはあくまで今現在のインターネット上で見つけたものである。しかし、私の記憶にあるものとほとんど同じである。)

こうなると、色の三原色(=赤、黄、青)に近い色のさざれ石が得られたことになる。したがって、色のついた石やさざれ石を使って「絵を描く」こともできるはずである。

こういうごく自然な発想で作られるようになったものが「宝石画」あるいは「貴石画」と呼ばれたものである。こんなものである。
☆……宝石画(貴石画)……☆

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我が家ではまさにこういうものを作っていたのである。我が家のものは父の名の実からとって「実宝(じつほう)」のブランド名で取引されたものである。この朱印が入ったものが我が家の製品であった。ところが、のちのちライター屋が我が家の名前と同じものを名乗り始めた。そのZIPPOと命名が重なり、裁判したが、相手を取り下げることが出来なかったという話を覚えている。その当時のジッポーなんていうのはそれほど大きな会社ではなかった。

まだ始めの頃は、細かいさざれ石部分は、磨くことが出来ず、細粉上に砕いた石を使っていた。だから、基本のパーツは比較的大きな石を使っていたのである。それゆえ始めは「貴石画」と呼んでいた。

ちなみに、この貴石画のアイデアは我が家から誕生したものではない。確か私の記憶では、大森さんだったかな(?)、ど忘れしてしまったが、別の会社の業界仲間の老舗が発明したものである。

が、しかし、「バレル研磨」でさざれ石が研磨できるようになると、細粉の代わりにさざれ石を使えるようになった。そうなると、もっと巧妙なことができるようになってきた。

それが、貴石画のモザイク画である。最初にやったのは、我が家の従業員の人だった。名前を忘れてしまったが、県の最優秀賞を取ったものである。こういうレベルになると、今度は「宝石画」とより一般化した名前がつくようになったのである。

たとえば、最近の映像でみれば、こんなものである。
宝石で描いた 名画

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いまではこんなものまであるようだ。
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http://item.rakuten.co.jp/alljewelry/999-gingac-3/

タイでも作られているらしい。
タイの宝石画
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ちなみに、我が家の最大級の宝石画は「富士山」の非常に大きなものだった。普通の富士山と赤富士の二種類があった。たとえば、こんな感じのもの。
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(これらは我が家のものではないが、最初にこういうふうな宝石画を作り出したのである。)


というように、1960年代〜70年代の山梨県甲府の宝石貴金属加工業者や宝石研磨業者の技術が、その後全世界に波及していったのである。その大本が「バレル研磨」技術だったのである。これは日本の山梨県から生まれた技術だったのである。

私が小学生時代には、毎日母親がこの貴石画を作っていた。化学ボンド剤を貴石につけて、額縁の板に貼り付けるのである。そうやって絵を描いていた。父親は、スカラベを磨いていたのである。そんな時代に私は野球に夢中になっていたものである。

これが高度成長時代の山梨県甲府の宝石加工業者の姿だったのである。


おまけ:
「宝石画手づくりセット」
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いまでは、こんなものまである。


(つづく)



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  by kikidoblog | 2013-11-06 13:31 | ファミリービジネス

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