里谷多英式「緊張のほぐし方」:日本代表の皆さん、これを学んでネ!
ここ連日、ソチ・オリンピックに釘付けである。それにしても日本のマスゴミはひどい。日本選手が不甲斐ない結果で負けるたびに嬉々として報道する。どうもそういう印象がある。
さて、日本選手が緊張して本番で駄目になる。本来の実力を発揮できない。この傾向は相変わらずである。毎回4年後のために用意周到に準備しても結局本番で足が震え、目が点になり、頭が空白になり、何をしているかわからないまま、あっという間に終わってしまう。この繰り返しである。
実は、もう3大会前に私はこの問題を論じていた。それが拙著
物理お宅博士のスポーツ観戦記 ソルトレイク・オリンピック2002である。
この中の18ページに里谷多英選手の銅メダルの話がある。どうして里谷選手が「あがらないか」(つまり「緊張しないか」)をメモしたものである。そして、日本のスポーツ選手はどの分野であれ、これを使うべきだと論じたわけですナ。これをメモしておこう。
実はこの「方法」は当時里谷多英選手のコーチをしていたアメリカ人コーチが伝授した、「アメリカ式」(つまり、「心理学科学的手法に基づいた」)緊張を取り除く方法である。
その後も、今回もアメリカの選手や欧米の選手はまったく緊張しない。だから、本来以上の実力を発揮する。そうやってメダルを総ざらいしていく。この秘訣がこの方法なのだが、こういうやり方がなかなか日本では競技間、種目別間、スポーツ間で伝播していかないのである。
だから、冬のスポーツで流布されていたとしても、それが陸上など別のスポーツにまで伝播しない。これが日本のいわゆる「縦割り的派閥意識の欠陥」である。
科学でもそうで、大学のお隣の研究者間でほとんど交流がないとか、ほとんど似た研究しているのに、学部が違うとまったく交流がないとか、そういうことが頻繁に起こる。日本人の恥ずかしがり屋さん的な子どもじみたナイーブな感性がそうさせるのである。
が、ある分野でだれかが成功したのなら、次にはそれがだれにも常識なるというのが欧米人式だが、なかなか日本人にはそういうことができないらしいのである。
また、里谷多英さんも自分の手法をもっと他の選手に流布すればよかったのだが、あまり日本選手はそういうことをしたがらないのである。
さて、里谷選手がどんな方法で試合直前の緊張をほぐし、集中力を高めたか?
こうするらしい。
あ)15分前から5分間、自分の一番好きな人や家族のことを考える。楽しかったこと。お世話になったこと。そして、落ち着く。
い)次の5分間で、これまで自分が行って来たスキーのことを思い出す。そして、スキーの過去のいろんな記憶や経験の全てを呼び覚ます。
う)最後の5分で、目の前の現実の競技のことだけを考える。そして、最高潮にエキサイトし、燃える。アドレナリン全開!スタート!
ところで、私が最近つくづく思うことは、日本人選手は「オリンピック」という言葉の「イップス」になっているのではないかということである。少なくとも、浅田真央選手は完全に「イップス」である。試合になると、ある種の「恐怖」を感じるのである。弱気になる。これが「イップス」である。
ところが、「運動会」という言葉には良い記憶しかない。楽しい思い出しかない。だれもが「運動会」や「球技大会」という言葉を聞けば、学生時代の良い思い出や、「よっしゃ、やってやるぞ」というクラスのヒーローになったというような思い出ばかりだろう。
だから、「五輪オリンピック」というよりは、「五輪運動会」というように言ったほうがいいのではないだろうか?実際、「国際運動会」でしかない。
かつて、自分のクラスのためにクラス代表として、好きな女の子の前でかっこいいとこ見せてやるぜというような感じで頑張ったように、世界中の女子に「俺のかっこいいとこ見せてやるぜ」という調子でやったほうが「金メダルとります」と言ってやる場合より良い結果が出るのではないだろうか?
所詮「運動会」なんだから、「オリンピックを楽しむ」というよりは、もっと積極的に「いっちょかっこいいとこみせてやるぜ」の方がいいんじゃね?
まあ、どうも私にはそう感じるのだがナ。
おまけ:
その記事はこんなもの。
いやーオリンピックは面白い!:里谷選手から学ぼう!
2002/02/12 10:12
いよいよ冬期ソルトレイクオリンピックが始まりましたね。いきなり、
里谷選手の女子モーグルで銅メダル!これは本当に立派です。
たぶんほとんどの人はスキーを知らないと思うので、里谷選手の
成績がどれほどすごいことなのか、少しだけコメントしておきましょう。
私は中学生時代毎シーズン、乗鞍にあるオーストリアスキー教室に
参加していました。そこでの最終目標は、ウェーデルン。そして、
そのウェーデルンで乗鞍の最後のこぶ坂を滑り降りること、これ
が教程の最終目標でした。
スキーは、初心者から斜滑降、キックターン、ボーゲン、パラレル、
ウェーデルンと難しい技量になって行きます。
斜滑降は、坂を斜めに滑ることと。そしてそこでいったん止まり、
キックターンをして今度は逆方向に斜滑降をして、またキックターン。
そうやって斜面を降りてきます。
ボーゲンは、斜滑降からキックターンせずに、そのままターンして
また斜滑降に戻るテクニックですね。そのターンの際、いったん
スキーをハの字型に開いて回ります。そしてスキーを揃えて斜滑降
に戻ります。
パラレルというのは、そのターンの時にもスキーを並行(パラレル)
にしたまま、滑るようにターンをする技術ですね。
そして、最後のウェーデルンというのは、できる限り斜滑降で斜めに
滑ることなく、直線的に〜〜〜〜〜〜〜>とすべり降りる技ですね。
だから、当然、ウェーデルンが一番難しいわけです。
というわけで、普通のスキーヤーの夢は自分がウェーデルンできること。
そして、こぶだらけの斜面をさっそうと上から下へウェーデルンで
滑り降りることができれば最高級ということになります。
ゲレンデでこれで滑って来る人が一番格好良いわけだ。まず一目ぼれ
することまちがいない。一方、途中で転んでしまうやつ程みっとも
ないものはない。まあ、そういうわけ。
さて、ということは、ウェーデルンまで滑ることが、ほとんどの
スキーヤーの目標なのだから、競技人口が一番多いのが、このウェーデルン。
つまり、スキーでは、スーパー大回転、回転、滑降などのアルペン
種目というのは、かなり大きな広いスキー場の取れる国の種目。
しかし、モーグルというのは、もっともありふれたスキー場で実現可能
なもっとも競技人口の多い、もっともポピュラーなスキー競技と言える訳。
したがって、この競技で入賞するのはどれほど困難なことか理解できる
だろう!
言い換えれば、アルペン競技はヨーロッパのスポーツ。
しかし、モーグルは世界のスポーツ。野球とサッカーくらいの差が
あるわけだ。サッカーのワールドカップで優勝することが、野球の
ワールドシリーズで優勝するよりはるかに難しい。それと同じなんだね。
そこで、2年連続で金、銅と里谷選手はとったわけ。これがどれほど
すごいことかスポーツ音痴の人たちにも分かっただろう。
今度の大会を見ていて、その理由が始めて私は理解できた。それは
コーチの差だったようだ。彼女のコーチはモーグル本場アメリカ人
のようだ。あるインタビューで彼女が言ったことにそのヒントがあった。
あるキャスターが里谷さんに聞いた。どうやって試合前に集中する
んですか?彼女は答えた。いつもと同じようにコーチの指示に従う。
コーチの指示って?まず15前になると、家族のことを考える。
10分前になると、スキーのことを考える。そして、5分前になると
競技のことを考える。そして、ピッピッピッピースタート!!
だから、まったく緊張しなかったって!!
つまり、このやり方に本質が隠されているようだ。
あ)15分前から5分間、自分の一番好きな人や家族のことを考える。
楽しかったこと。お世話になったこと。そして、落ち着く。
い)次の5分間で、これまで自分が行って来たスキーのことを思い出す。
そして、スキーの過去のいろんな記憶や経験の全てを呼び覚ます。
う)最後の5分で、目の前の現実の競技のことだけを考える。そして、
最高潮にエキサイトし、燃える。アドレナリン全開!スタート!
これは本当に科学的なやり方だと思う。どうやら、分刻みでこういう
試合前のスケジュールが出来ているらしい。選手はそれにしたがって
動くことで、余計なことを考えたり、緊張しないようなスケジュール
が組まているようだ。
スケートの選手もぜひこのやり方に学ぶべきだろう。
ちなみに、緊張してしまった選手とそうでない選手の区別の仕方を
お教えしよう。それは、緊張した選手は「目が点になる。」つまり、
顔は血の気が失せ、のどが乾き、目が点になり、体の動きが鈍くなる。
一方、やる気のある選手は目がランランと輝いたような
目(目つき)になり、体の動きが鋭くなる。つまり、目が見開かれ大きくなる。
スケートの田端選手は、里谷選手とまったく逆。目が点になっていた。
もともと目が小さいのでもうほとんど目がなくなっていた。これが
敗因。余計なことを考えて緊張すると酸素が体内に取り込まれず、
実力が発揮できなくなる。試合前の集中プログラムを持っていない
日本選手はことごとく負けるだろうね。
いずれにせよ、一生懸命やればいいんで、結果がだれにも責任は
ない。と開き直ることが大切だろう。Who knows! Who cares!
要するに人のことはどうでもいいんだね。自分がオリンピックを
個人として心行くまで楽しめば良いんだよ。浪花節や国粋主義は
まったく無関係。Enjoy it! Good luck! 健闘を祈ります!

by kikidoblog | 2014-02-10 21:50 | サッカー&スポーツ