ニコラ・テスラと「SFの父」:実はSFの父の父はニコラ・テスラだった!
今回もニコラ・テスラの人間的能力や人間味についての続きをメモしておこう。
(あ)ニコラ・テスラがマッドサイエンティスト化した理由とは?
さて、20世紀後半から現在の21世紀初頭にかけて、ニコラ・テスラと言えば、ルックスが悪く、運動神経ゼロで、ひきこもりの「天才マッドサイエンティスト」のイメージがつけられてきた。
例えば、こんなイメージである。
どうやら、昨日メモした新戸雅章氏の
「超人ニコラ・テスラ」によれば、それは真っ赤なウソだった。
これは、ニコラ・テスラが自分の研究所が度重なる火災で消失して、もはや自分では大きな実験ができなくなってホテルに居住するようになったのだが、その晩年の時代に、そこに度々かつての大スターからの信望を得ようとして米国作家が訪れるようになった。その作家が、テスラからいろんなアイデアやさまざな未来予想をもらって、世界最初のサイエンティフィックフィクション(SF)を書き始めた。その際、その中に登場させたマッドサイエンティストのイメージが本来の始まりだったという。
ニコラ・テスラは、SF作家が明らかに自分の発明やアイデアをモチーフとして描かれたマッドサイエンティストが登場するSFを非常に楽しんだらしい。
これが、後々の人々によって、いつしかニコラ・テスラ=マッドサイエンティスト化された直接の原因だったようである。
この人物が、アメリカ初のSF雑誌「アメージング・ストーリーズ」の創刊者にして、「アメリカSFの父」と呼ばれるようになった、
ヒューゴー・ガーンズバックであった。
要するに、
晩年になって発明のロイヤリティーで優雅に静かにホテル住まいをしていたニコラ・テスラの部屋に入り浸った若きガーンズバックは、近未来の科学技術のネタにニコラ・テスラの既知の発明や未完成の発明から着想を得てSFを書いたことが、テスラ=マッドサイエンティストの原因だったのであるということのようである。
クリスチャンの米人は「恩を仇で売る」というようなことはない。普通の人間は、宗教にかぎらず、「恩に報いる」ものである。
ニコラ・テスラの恩に対して、ガーンズバックはこういったという。
「真に発明した人間」、言い換えれば、他の人間によってすでに発明されていたものを単に改良しただけではなく、発明した人間ということなら、疑いなく、ニコラ・テスラは現在の最大の発明家であるばかりか、歴史上最大の発明家である。(中略)
彼の革新的であるばかりでなく基本的な発見は、まったく大胆で、知的世界の歴史において並ぶものがない
ガーンズバックとの交流において、ニコラ・テスラは、当時の第2次世界大戦前夜の最中にあって、専守防衛のための兵器として、あくまで「可能性として」殺人兵器やデスレイなどのアイデアを教えたようである。それが、SFネタになると同時に、SF雑誌の商業的成功のために、うまく広告利用された結果、そんな大それた危ういことを考えるマッドサイエンティストが、ニコラ・テスラだというふうになったのである。
まあ、米作家がこぞって、ニコラ・テスラの妄想づくりに手を貸したのである。どうやらこれが真相だったということである。
というわけで、そういうアイデアとそれ以前の若いころにニコラ・テスラが実際に行った科学的偉業や実験とはあまり関係がないのである。
by Kikidoblog | 2015-04-04 12:17 | テスラ&ドラード