2015年クラブW杯「バルサ三羽烏の揃い踏み!」:最後の最後まで基本に忠実だった!
まずは昨日のサッカー、クラブワールドカップの話から。
(あ)3位決定戦
サンフレッチェ広島がここ数年アジアでは負けなしの中国広州恒大に2-1の逆転勝ちで、ついに3位に入る快挙を達成!これである。
サンフレッチェ広島 vs 広州 全ゴールハイライト! クラブワールドカップ 3位決定戦
クラブW杯3位 サンフレッチェ広島 対 広州恒大 森保監督力説
2015/12/20 に公開
▲ボイチさん、フェリペ・スコラーリ、ドウグラスの試合後インタビュー ⇒動画右上端のリンク〇を押してFIFA公式のハイライト動画アリ
▼サッカースタジアム問題で揺れる広島 インタビュー文字起こし 3位決定戦
相手は年間予算500億円とも言われ、中国スーパーリーグを5年連続で制したビッグクラブの広州恒大。今年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも鹿島、柏、G大阪を撃破し、Jリーグ勢にとってはぶ厚く高い壁として立ちはだかってきた。対照的に広島は年間予算約30億円で、開催国枠での出場。森保監督は「Jリーグ、日本の代表として戦おうと、選手たちが意地を見せてくれた。そして、全世界に中継がある中、平和都市・広島を勝利をもって、世界3位を持って、発信できたと思います」と胸を張った。
▼また、試合後、話題に挙がっているサッカー専用スタジアム、新スタジアム建設問題について言及。
「全てのことにポジティブに、今日の結果、今まで我々がやってきた結果が繋がっていけば良いかなと思っています。今広島では、スタジアム建設について機運が高まっているということがあります。
できれば、広島市内中心部、旧市民球場跡地などにスタジアムができれば、クラブ・ワールドカップでも大阪でリーベル・プレートと対戦しましたが、リーベル・プレートのサポーターが広島に観光に行き、原爆ドームや平和公園を訪れて大阪の試合を観に行くとか、ここの司会の方もこの後、家族が来て広島に行って平和公園を訪れると話していました。
サッカーは世界に通じるスポーツだと思いますし、市内中心部にサッカースタジアムができて、我々が結果を出して、広島の街が話題性も、経済的にも潤っていく。結果を出していけばアジアの大会にも臨める、国際大会にも臨めると、世界に向けて広島を発信する、そして広島に来て頂けるという役割を担えるように、地域貢献しながらやっていければと思います」
▼フェリペ・スコラーリ談話
「広島が非常によかった。フィジカルだけでなく、技術や戦術でも我々を上回っていた。シーズン終盤で、常に高いレベルを維持し続けるのは困難だった。ただ、我々も素晴らしい戦いを見せた。今日の広島はレベルが高かった。だが、(ACLで対戦した)G大阪と柏も同じようなクオリティがある。日本サッカー全体が進歩している。ロビーニョがプレーしなかったのは風邪を引いて熱と震えがあり、薬を飲んでいたからベンチから外した。」
私個人は、広島の柏選手が実に良いと思う。技術的にはメッシ、ネイマールに近いいいセンスを持っている。ただこれまでこうした国際経験がなかったことや育成レベル時代に海外経験がなかったことなど、一般の日本人選手にありがちな問題だけだったのではないかと思う。
柏選手は今回戦ったどんな国の代表に対しても右から崩してチャンスを生んでいたからである。若干遅咲きだが、充分に日本代表に入っていくべき選手ではないかと思う。
ちょっと調べたら、柏選手は山梨県出身。韮高こと韮崎高校出身の中田英寿の後輩、国士舘大の出身だった。これである。
柏好文
広島の森保監督は、戦後70年の今年どうしても被爆平和都市広島を全世界にアピールしようと頑張った。その思いに神様が微笑んだ。あるいは、マリア様が微笑んだ。そんな感じですナ。
準決勝も昨日のような采配であれば、充分に勝利出来たに違いない。やはりトーナメントは一戦一戦それだけを考えて勝ち抜くほかはない。
佐藤寿人選手、皆川選手、ともに大試合で得点して結果を出せれば、ワールドクラスに行けるのだが、どういうわけか楽勝の決定機にはずしてしまう。つまり、何かつい余計なことを頭で考えてしまうために身体が混乱してミスを誘発する。日本人選手にはそういう傾向が強い。
その点、メッシやスアレスやネイマールは、単純にボールに反応する感じの身体の対応がある。また、いい意味で「冷酷」であり、「野心」がある。だから、「抜け目ない」。
この「抜け目なさ」が日本人選手にはまだ足りないのである。
まあ、「シュートする前に必ず一度ゴールを見る」という習慣の差なんだが。メッシ、ネイマール、スアレスなど一流選手は決してこのルーティンを外さない。
(い)決勝戦
もはや云うまでもない。バルセロナの圧勝である。
まあ、それもそのはずで2位のリバー・プレート、3位の広島、4位の広州恒大のだれも、バルセロナのレギュラーはおろか、1軍2軍にも入れない。そういう選手たちの集まったチームである。
例外は、唯一広州恒大のブラジル代表のパウリーニョ選手のみ。パウリーニョは充分にやれる力は持っている。さもなくば、サッカーで欧州リーグで優勝はできない。それほど欧州の各国のトップのレベルは高い。
だからこそ、南米の選手たちはそんな強豪の前で自分の力を魅せつけて強豪への移籍の足がかりにしたいと思って頑張る。それがこのクラブW杯である。
以下のものである。
FIFAクラブW杯 バルセロナ対リバープレート 得点シーン
1点目
メッシ先制ゴール クラブW杯決勝 リバープレート vs. バルセロナ
ちなみに、俺は厳密にはこのプレーは「メッシのハンド」だったと思う。
あまりに早すぎて後ろのレフェリーには見えなかった。
ネイマールの4人抜きドリブル 【クラブW杯(2015)-決勝】
2点目
スアレスのゴール クラブW杯決勝 バルセロナ-リバープレート
ブスケスからスアレスへの一発のスルーパスのカウンターでやられたのだが、そのパスの直後にメッシ、ネイマール、スアレスの3人がディフェンダー2人に対してあっという間に3対2の数的優位を作ったわけだから、スアレスが外してもかならずネイマールかメッシが入れただろう。
DF2人だけでメッシ、ネイマール、スアレスに囲まれたらもはやお手上げだろうナア。
3点目
FCバルセロナ3点目 メッシ → ネイマールのクロス → スアレスのヘッド - CWC JAPAN 2015 決勝 2015.12.20
まずダニエル・アウベスのスローイン。
それをスアレスが中央で胸でトラップしてメッシへ送る。
それをメッシがもらってドリブルでDF陣を引きつけてネイマールを自由にする。
それをメッシがネイマールへパス
フリーのネイマールがメッシの後ろのスアレスの走り込みを確認
ネイマールがそれに合わせる
フリーで走りこんだスアレスがヘッドでゴール左隅に叩き込む
スアレスの走りこみが見えるもの。
さて、このスアレス選手の見事なヘディングシュート。実に簡単に決めているように見えるが、これはそんなに簡単なプレーではない。
まあ、日本代表でも日本でも大半の選手はこれをこの角度のコースにこの強さでヘッドできないのである。その理由はおそらく2つある。
1つめは腹筋と背筋の筋力の強さ。体幹の強さやバネやしなやかさにある。
2つめは、ヘッドのスイングの方向にある。
非常に重要なポイントだから、これを記念してメモしておこう。
まず、打つコースを決めたら(この場合はゴール左上隅)、そこにボールを打ち込むように上体をしっかり顎を引いたままのけぞって充分なタメを作る。
次に空中で額の右側おでこの一番硬い部分でヒットするように合わせる。
上体の屈曲する方向を合わせてゴール左上隅に行くようにヘッドする。
ヘディングシュートで一番大事なことは、身体を反らした状態から折れ曲がった状態までのヘディングの際に頭が動く方向とヘッドされたボールの軌道は、ちょうど光がガラスで反射するときの
スネルの反射の法則のように進むということである。
スネルの法則で言えば、スアレスの頭が反射面に対応する。ネイマールのパスは左上の入射光、ヘディングシュートは右上の反射光に対応する。また、境界面垂直方向がヘディングする方向に対応する。
したがって、反射面に対応するスアレスの頭は入射角θ1と反射角θ2の中央の破線の方向に自分はヘッドするつもりでヘッドしなければならない。
これがヘディングの反射の法則である。
ところが、あまり物理学の原理、自然の原理を知らないでプレーする選手は、このヘッドする方向と実際にボールが飛ぶ方向のズレに気づかないのだ。
ヘッドされたボールは物理学の反射の法則に従うのだから、自分がゴール左隅へ頭を振れば、そのボールは反射の法則に従ってさらにずっと右に進む。だから、ちょうどキーパーの目の前に進みキャッチされてしまうわけだ。
この反射の原理を日々の練習で自分が頭をどこに振りぬけばボールがどの角度へ飛ぶかを実践練習で身体に覚え込ませないといけないわけだ。だが、それが日本のサッカー選手たちはできていないのである。
ところが、スアレス選手やメッシ選手やネイマール選手たちは子供のうちにそういうヘッドの原理を自然に身につけたのである。
簡単に言えば、ボールはスイングした方向には飛ばないのである。なぜならボールは反射しているからだ。足のキックでも頭のヘディングでもいつもボールはインパクトされた瞬間に物理の反射の原理に従って動いている。だから、弱いパスのボールなら、自分が蹴った方向に蹴ったボールが進むが、強いパスのボールを蹴る場合にはそうはいかない。蹴った方向に飛ぶのではなく、入射角に対して反射角が反射の原理に従うように進むのである。
私はこのスアレス選手が南アメリカ大会にウルグアイ代表として出た時、日本に勝ったパラグアイとの試合でゴール内で相手シュートを両手で叩きだし、一発レッドカードをもらって退場したから、どんな悪の選手かと思っていた。しかし、その後も噛みつきはマイク・タイソンかスアレスかというように、問題児の様相を示していた。だから、正直ここまで良い選手に育つとは思っていなかった。
しかしながら、最近のプレーは非常に安定していて決定力の高さではいまや世界一になった観がある。
きっと今年のバロンドールはスアレスがもらうのかも知れないですナ。
身長もそれほど高くないし、特にやたらと足が速いこともない。だから、充分に日本人選手たちもこのレベルに行けないはずはない。試合中に考えずともいつも基本通りにプレーできるという日々の練習が大事なのだろう。
いやはや、例年になく非常に教訓になる大会だった。
by Kikidoblog | 2015-12-21 09:26 | サッカー&スポーツ