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ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz

みなさん、こんにちは。

さて今回は個人的メモ。あるいは、物理学に興味ある人だけに向けたメモである。だから、普通の人は時間の無駄であるからスルーを。


さて、最近偶然見つけたのだが、我々物理学の分野では知らない人がいないものに
「ローレンツ変換」と「ローレンツ・ゲージ」
という言葉がある。

科学者ならこの中のローレンツの名前を知らない人はいないはずである。

ところが、もしローレンツには2人いたとなればどうか?

たぶん誰も知らないに違いない。

答えから先に言うと、ローレンツ・ゲージのローレンツとローレンツ変換のローレンツはまったくの別人なのである。

とまあ、最近こんなことを知ったのである。これである。
(1) The “Lorenz gauge” is named in honour of Ludwig Valentin Lorenz!

(2) Ludwig Valentin Lorenz is the discoverer of the "Lorenz gauge"!


このことは、欧米の大学院の有名な教科書である「ジャクソンの電磁気学」にも書かれていなければ、我が国で有名な砂川一郎の「理論電磁気学」にも書かれていない。

つまり、ローレンツ変換とローレンツ・ゲージの両方をローレンツが発見したことになっている。

しかしながら、それは事実ではなかったのである。

(あ)ローレンツは2人いた!
ローレンツゲージを論文に最初に書いた人物は、デンマーク人のルードウィッヒ・ヴァレンチン・ローレンツ、Ludwig Valentin Lorenzであったという。
ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz_e0171614_1125695.jpg
(
つまり、Danish(デンマーク人)のローレンツ(Lorenz)であった。この人は、1829年生--1891年没である。

一方、ローレンツ変換を生み出したローレンツは、オランダ人のヘンドリック・アントーン・ローレンツ(Hendrick Antoon Lorentz)であった。
ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz_e0171614_11235940.jpg
つまり、Dutch(オランダ人)のローレンツ(Lorentz)だったのである。この人は、1853年生--1928年没である。

綴りには、tがあるかないかの違いだから、まったく英語でも日本語でも発音が同一になる。

デンマーク人のローレンツの方がオランダ人のローレンツよりも24歳年上である。


(い)現在物理学の文献中でこの誤解が分かっているものはごく一部。
上のイリエフさんの論文によれば、現在までにこの誤解を指摘している文献はまだほんの数%だという。以下のものである。
ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz_e0171614_11274010.png

それでもインターネット時代になって少しずつ知られるように広まったから、やっとここまで修正されてきたらしい。が、それでもまだこんな案配だとか。

さて、実は
ローレンツ・ゲージの式
ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz_e0171614_11313440.png
を一番最初に定義した人物は、かのベルンハルト・リーマンだったという。しかしすぐに死んでしまった。

まだ電磁気学が生まれつつあり、ファラデーやマックスウェルの理論ができつつあった頃のことである。

リーマンは、電磁気学において、変動する電位が電流や磁場を生み出すという原理として、考えついたものが、この式であった。

だから、最初は電磁場の縦波を消すためのゲージと言う意味ではなかった。むしろ、電荷の時間変動による電位(電圧)変動があると、それが何がしかの”電荷”の源のような役割を果たしてその周りに”発散”を生み出す。そういう意味で考えだされた式だったのである。


ところが、どういうわけか、このデンマーク人のローレンツも19世紀終わりに62歳で死んでしまった。

ちょうどその頃、オランダ人の若いローレンツがバリバリの理論物理学者として活躍し始めた。世はエーテルの打破の時代に入った。そしてオランダ人のローレンツが、ローレンツ変換
ローレンツは2人いた!:DanishのLorenzとDutchのLorentz_e0171614_11443795.jpg
を生み出して、エーテル流の流れを否定する手法を見つけ、それが元になってアインシュタインの特殊相対性理論が誕生した。

いつしか世の中はオランダのローレンツの時代、ソルベー会議の時代となって、デンマークのローレンツはお忘れになられてしまった。

これが事の真相だったようである。

まあ、悪く言えば、若いローレンツが年配のローレンツの評判も自分が掠め取ったのである。なりすましというやつですナ。

みんなどうにかこうにかして自分の名前を歴史に残したい。他国のライバルは葬り去りたい。

これが日本人以外の民族の習性なのである。

今現在も中国や韓国では、同じことが時々刻々と行われているわけだ。

あと30年も経てば、下手をすれば湯川秀樹や朝永振一郎の仕事も全部韓国人がやったことになっているかもしれないわけである。事実韓国内の教科書ではすでにそうなりつつあるのだ。


DanishのLorenzとDutchのLorentz
前者がローレンツ・ゲージのローレンツ。後者がローレンツ変換のローレンツ。

ぜひこれは覚えておいて欲しいものである。




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  by Kikidoblog | 2015-12-21 11:48 | 人物

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